会社の昼休み、俺は電車に乗っていた。昼飯を買いに行こうとしたが、妙に電車に乗りたくなったのだ。
車内はがら空きだった。俺はドアの横に立ち、スマホをいじる。ふと視線を上げると、向かいの席に女が座っていた。
白いワンピースに長い髪、顔は伏せられていて表情は見えない。
妙だな、と思った。さっき乗ったとき、この車両には誰もいなかったはずだ。気のせいか?
電車がトンネルに入った瞬間、電気が一瞬だけ暗くなる。その刹那、女の顔がこちらを向いた。
目が、ない。
黒くぽっかりと空いた目の穴が、俺を見ていた。
電車がトンネルを抜け、明るくなると、女は消えていた。
次の駅で慌てて降り、ホームで息を整える。振り返ると、まだ走り去る電車の窓に、さっきの女が座っているのが見えた。
……いや、違う。
彼女は俺を見て、にっこりと笑った。
その瞬間、俺のスマホに通知が来た。画面を見ると、知らない番号からメッセージが届いていた。
「次は、あなたの番」
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