うわあああ!
大島が自分の叫びに驚き瞳を開くと、いきなり視界に薄暗い灰色の天井が飛び込んできた。
激しい心臓の動悸。
額にはじっとりとした汗。
彼は今日も悪夢にうなされて夜中に目が覚まされる。
半身を起こし、ほっと一つ大きくため息をつくと辺りを見渡す。
いつも通りコンクリートに囲まれた8帖の部屋が闇に沈んでいる。
今の自分のこの状況も悪夢であってくれたらと、大島は何度思っただろうか。
━これからも命の果てるまで、私はこの冷たく殺風景な閉じ込められた空間に居続けなければいけないのだ。
絶望に打ちのめされ彼が頭を抱えていると左側にゾクリとした気配を感じ、思わずそちらに視線をやる。
僅か2メートルほど先にあるのは冷たい鉄の扉。
その真ん中辺りにある四角い小窓から覗く二つの吊り上がった細い目。
じっとこちらを伺っている。
━やつはああして毎晩現れては、私の刑の執行の日までサディスティックに楽しむつもりなのか?
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大島裕司、、、43歳。
現在確定死刑囚として死刑執行の日が来るまで、とある拘置所で懺悔の日々を過ごしている。
信じられないと思うかもしれないが、かつて彼は弁護士だった。
そんな人間がどうして、このようなことになってしまったのか?
…………
始まりはちょうど5年前の初秋の時分のことだった。
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なんでだろう、気が狂ってる死刑囚もいるな
宮崎勤かと思ったけど、年齢も刑までの執行機関が違うから別のかな
多分、別の死刑囚ではないかと。
年齢もそうですが、宮崎さんとは
また違った気配ですね。