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心霊

かたまりさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

あれは人か、生霊か。
短編 2025/03/12 18:27 1,761view
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海が苦手な俺の友達の爺ちゃんの話
爺ちゃんの名前はタカシ(仮名)

爺ちゃんは若い頃、魚釣りをするのが
趣味だったらしい。同じく魚釣りが趣味の
近所のおじちゃんが、よく船に乗せて
海に釣りをさせてくれたらしい。
そんな二人は年齢関係なく友達の様だった。
「タカシ!今日明け方までやんねんけど
来るかぁ?」
「おじちゃん!めっちゃ行きたい!」
爺ちゃんはこれが唯一の幸せだった。
夕方に母に見送られて、船へ乗った。
ゆらゆらと船が波に乗る
今日は何が釣れるかな
大物が釣れたらまた親や友達に自慢するんだ
と、ワクワクしていたらしい。
「今日は波がええなぁ、魚も
いっぱい釣れるんちゃうか?」
「せやね!いっぱい連れたらええな〜!」
目を輝かせ広い海を眺めていた。
だが、そうやって船に乗り釣りをするのは
今日で最後になってしまった。
それは釣りを楽しみ続け、明け方になった頃。
太陽が顔を覗かせ、目を細めながら
釣りをしていたとき。
「ん、?爺ちゃーん!!」

「なんやー?」
「なんか変なん浮かんどるで!サメかなぁ?」
「サメェ?何や見せてみぃ」
「ほら、あそこ」
船から離れた所に確かに何かある。
だが遠すぎて目視では難しそうだ。
「近付いて見てみよか」
「うん」
ゆっくりと波に乗りながら、ナニカに近づく。
「タカシー!見えるかー?」
「全然!タイヤかなぁ?」
「タイヤにしたら縦長やなぁ、なんやろか」
そう言いおじちゃんはその近くまで船を動かした。
「タカシ、でっかい魚かもしれへんし
網持ってきてー!」
「わかったー!」
爺ちゃんは船の奥にある網を取りに行った。
そして暫くして戻って来る。
「おじちゃん持ってきたで」
「…」
「おじちゃん?おーじーちゃん?」
ナニカのところまでやってきたのだろうか
おじちゃんは船の下にあるナニカを見つめたまま
動かなかった。爺ちゃんは続くように
その船の下を見た。
「っ!?!?」

人の肌の色とは思えない色、目が見開いたままで
海で濡れた髪が顔にくっついていた、
「し、死体や!!!」
そう叫んだ爺ちゃんの声に我に返ったのか
おじちゃんは
「見るな!!!!」
爺ちゃんの頭を船床に押し付ける。
「帰るぞ!海上保安に連絡しなっ…!!」
急いで船を出しに行ったおじちゃん
ズルズル…
爺ちゃんは海に落ちそうになった網を
拾おうとして、また海面を見てしまった。
「うっ!!?」
そのナニカ、いや死体は船の壁に
「連れて行って」「置いていかないで」
と言わんばかりに張り付いていた。
「うわぁぁぁぁ!!!!!」
網をそのまま死体に向けて落としてしまい
尻もちを後ろについた
それと同時、船は出発し、その死体を
また見ることはなかった。
それから帰って、爺ちゃん達は事情聴取をされた。
それから2人は会話をするものの、
また釣りに行こう。という話はなかった。
だから爺ちゃんは今でも海が苦手だ。
海に行けば、あの死体がまたどこかの壁に、
船に張り付いているかもしれないから。

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コメント(2)
  • このサイト普通に面白い

    2025/03/14/11:08
  • 同感

    2025/08/28/14:18

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