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心霊

Ms.テリアスさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

帰ってくる
短編 2025/03/05 15:08 1,376view

これは私が母から聞いた話だ。というのも、私は昨日の出来事(「珍しい趣味」)以来、怖い話が苦手なはずなのに、奇々怪々のサイトで小説を読み漁り、周りには何か経験したことのある不思議な出来事がないかと聞き回っている。癖になってしまったらしい。

 私の周りではあれ以来、変なことが起きている気がする。例えば、あれを投稿したあと、扉の外から気配がして、メガネとエアコンが壊れた。寝坊だとカンカンに怒った母親が扉を開けてくれるまで、私はやはり扉を開けることができなかった。

 話を戻そう。この話はそんな私の家であった出来事である。私の母は私と違い、霊感がある方であり、不思議な体験を家の中ですることが多いらしい。特に階段から廊下にかけてがやばいらしく、よく誰かが階段を登ってきたような気がしたり、影を見たり、何かとすれ違った気がするらしい。私の部屋はちょうどその廊下に面するので、それを話そうと思ったと言っていた。正直、出かけ先で私を脅かすように「さっき幽霊がいた」と言っていることはあったが、そんなピンポイントであるものなのかと怖くなった。

 特に怖かったという出来事は、これらの現象が頻発に起こる前のことで、ちょうどまだ赤ん坊の私を寝かしつけた後、廊下の一番奥に位置するリビングでくつろいでいたときのことである。玄関が閉まり、階段を登るような音が聞こえた気がした。父は営業であり、昼に帰ってくることもあるので、きっと昼ご飯を食べに帰ってきたのだろうと思っていた。時期は冬であったが、お盆あたりにもらった麺でも茹でようと考え、ソファから立とうと目線を下に向けたとき、「ただいま」と声が聞こえた。リビングの扉はすりガラスになっており、リビングより離れたところで立っている黒いスーツの人が見えた。スラッとしていて足が長い姿的にも父だろうと、特に疑わなかった母は「早いわね、おかえりなさい。」と返した。しかしその影は一向に近づいてくる様子もなく、かといって動く様子もない。不思議に思っていると、その人は再度確かめるように「ただいま」と言った。さすがに不審に思った母は、「おかえり、早く入ってきなさいよ。どうしたの?」とソファから立って扉に手をかけ、完璧に前を向くと、すりガラス越しでもわかるくらい接近した場所に肌が白く目は真っ黒で、笑っているのだが単に皮を伸ばしたような不自然なシワを作っている恐ろしい顔が一瞬見えた。しかしその時にはもう引き戸はカチャと音を立て開き、横に扉がスライドして流れていくのだが、力が入らず止めることはできなかった。しかし開いた扉の先には何もなく、母は腰が抜けて、この後帰ってきた父に助けてもらうまで一人で立てなかったそうだ。

 この時からこの家には人ならざるものがリビングまで「帰ってくる」らしい。反応をしなければあそこまではっきり見えることはないし、害もないため母はもう慣れたと言っているが、今回の私の話を聞いて母は不思議そうに「なんで深夜になんか帰ってきたんでしょう、いつもは昼頃なのよ。」と言った。確かにそれは私も疑問で、今回の足音はずっと廊下で何かを探している、もしくは何かを待っているようなものであったし、いつも見えないし聞こえていない私にも聞こえていた。母は「あなたは影響されやすいタイプだし、気をつけておくのに損はないわね。」と返すので、私も「まぁ、そういうものなのかなぁ。」と怯えながら思うのであった。

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コメント(3)
  • 怖いですね。

    2025/03/05/17:34
  • いわゆる「特定班」の被害例も誰かが以前書いてた。「アンビリバボー」とかに出てくる「ひらひらさん」「洗脳ママ友」等「ほんとに居た怖い犯罪者」のほうがそこらへんの霊より怖い((((;゜Д゜)))

    2025/03/05/21:12
  • 「Ms.テリアス」は「ミステリアス」をもじったものって気づいたやついる?いねえよなあ!!?(古)

    2025/03/06/12:25

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