「いいから家を出るな! 誰が来ても玄関ドアを開けるなよ。たとえ俺が呼んだとしてもだ。いいな!!」
そう言って、電話が切れた
かなり切羽詰まった様子だった
俺はかなり怖くなった
昨日の夜にリビングにいたA
あれが何だっていうんだ?
あれはAじゃないのか?
そんなことを考えていると、インターホンが鳴った
同時に声が聞こえてきた
「おーい。Aだよ。開けてくれよ」
Aの声だった
俺は反射的に玄関のドアに向かい、ドアの鍵を開けようとしてたが、寸前のところで止まることができた
Aじゃない
ドアの向こうにいるのは、Aじゃない
だって、Aは琵琶湖に旅行に行っていて、今から帰るところなんだ
どんなに急いだって、ここにいられるわけがない
声はAだけど、向こうにいるのはAじゃない
俺は自分の足が震えているのに気付いた
なおも声は続く
「おーい。Aだよ。開けてくれよ」
抑揚のない声だった
声はAのものに間違いないが、まったく人間味のない声というか
とにかく不気味な声だった
やがて、ドアがノックされるようになった
最初は静かな調子だったが、どんどん激しくなっていった
ドンドンドンドン!!!
「おーい。Aだよ。開けてくれよ」
俺は自分の部屋に逃げ込み、ベッドの布団を頭にかぶって必死に耐えた
開けちゃいけない! 開けちゃいけない!
俺は目をつぶって、俺は奴がいなくなるのをひたすら待った
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