幽霊の友達
投稿者:偽美 (28)
私がまだ小学生だったころ、ある日の放課後のことです。
私は一人、教室に残って宿題をしていました。その日はいつもより帰りが遅くなったのですが、家に帰っても誰もいなかったので、そのまま教室で時間を潰していたのです。
そうしてしばらく経ったとき、廊下から足音が聞こえてきました。誰か先生が来たのかと思って、私は椅子から立ち上がりました。しかしドアを開けて入ってきたのは、知らない男子生徒でした。私のクラスには、もうひとり別のクラスの男の子がいたんですね。
彼は私を見るなり
「あ!」
と声を上げて立ち止まりました。
そしてこう言いました。
「お前、俺が見えるんだな?」
え? 見えるとはどういう意味か――と聞かれても困りますけど。
でもまぁ、幽霊とかそういう類のものが見えていたんではないかと思いますよ。少なくとも普通の人間ではなかったはずですね。だってほら、いきなり『あ!』なんて言うでしょうか? 普通は言わないでしょう。それに彼の顔を見てすぐに思い出しましたし。
ああ、あの子だなって。
あの子はよく私に話しかけてきてくれました。友達と呼べるほど仲が良かったわけではありませんけど、お互い顔だけは知っていたという感じですか。当時は特に話すこともなかったので、彼について詳しいことは知りません。
ただひとつ言えるのは、彼が普通の人ではないということだけです。それくらいは一目見た瞬間に分かりましたよ。なんと言いましょうか……存在感が違うんですよ。オーラがあるっていうのかな。ちょっと不思議な雰囲気を持った人でしたね。
それで、そんな彼に私は言ったんです。
「うん、見えるよ」
すると彼は
「そっか」
と言って、それから続けてこんなことを言いました。
「実はさ、俺……死んでるんだよ」
それはつまり、この世に未練があって成仏できずにいるということでしょう。だから私はこう答えたんです。
「そうなんだ」
と。
すると彼は少し驚いたような顔をしてから
「驚かないんだな」
と言いました。
「どうして?」
「いや……もっと驚くと思ったから」
「驚いてほしいの?」
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