白いワンピースの女
投稿者:偽美 (28)
これは、僕が事故物件に引っ越してから間もない頃のお話です。
僕はある日、部屋で寝転んでいました。すると、突然電話がかかってきました。
『もしもし?』
受話器を取れば、聞こえてきたのは女性の声。
どこか聞き覚えのある声だなあと思っていましたが、それが誰なのか思い出せません。
けれど、彼女は一方的に喋り始めました。
『あなたは私を助けてくれるために来てくれたんだよね』
彼女の言葉の意味がよく分かりませんでした。ただ、何となく嫌な予感だけはしました。
『ねえ、今からそっちに行ってもいいかな? 大丈夫、怖くないよ。ちょっとだけ会って欲しいだけだから……ね?』
そこで通話は途切れてしまいました。
少しの間呆然としていたのですが、このまま放置するわけにもいかないと思い、意を決して玄関に向かいました。そしてドアを開けると……そこには誰もいませんでした。
あれっと思った瞬間―――
『やっと会えた!嬉しい!』
いきなり後ろから抱き着かれてしまいました。しかもその感触は人間のものではありませんでした。それは、ひんやりとした冷たい肌でした。まるで氷のような冷たさを感じてぞっとします。
振り返るとそこにいたのは、真っ白なワンピースを着た若い女性でした。
年齢は二十代前半くらいでしょうか。とても綺麗な人でした。
でも、明らかに人間ではありえません。
何故なら顔がないんです。首から上が存在しないんです。
だから、彼女がどんな顔をしているのか分からない。なのに、何故か笑っているような気がしてゾッとしました。
僕は悲鳴を上げて逃げ出そうとしましたが、それよりも早く彼女に捕まってしまいました。そしてそのまま押し倒されてしまいました。
『怖がらなくていいんだよ。何もしないから。私はあなたの味方なんだから』
そう言って彼女は僕の頬に触れてきました。触れているはずなのに触れられていない。そんな奇妙な感覚を覚えました。
そしてその時、ようやく気付きました。
この女性は幽霊なのだと。その後気を失ったらしく玄関先で倒れているのをお隣さんに発見されました。
あれ以来おかしなことは起きていませんがまたあのようなことがあると怖いので引っ越しを検討しています。
お知り合いの方だたのてすか?