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心霊

偽美さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

血まみれの女
短編 2022/07/05 17:12 902view

私は、小さい頃から霊感が強い方でした。でも、それはいつも自分だけに見えるものだと思っていたのです。

そんな私も中学3年生になりました。ある日のことです。その日は雨が降っていてとても暗い夜でした。私は、塾の帰りに友達と別れた後、一人で歩いていました。すると後ろから足音が聞こえてきたんです。コツッコツッという音でした。誰かが歩いているんだなと思い、特に気にしませんでした。しばらく歩くとその足音の主が姿を現しました。なんとそれは血まみれの女だったのです! 女は私の方を睨みつけながらゆっくりと近づいてきます。

「殺される!」

と思った瞬間、女は消えてしまいました。一瞬の出来事だったので何が起きたのかわかりません。しかし、それ以来あの女の人を見ることはありませんでした。

それから1ヶ月ほど経った頃でしょうか?私はまた同じ道を歩いていたんです。そうすると背後から足音が聞こえてきました。振り返るとそこにはあの時見た女がいたんです! そして今度ははっきり見えました。女の顔には生気がなく目からは涙が流れていました。女は私を見つめながらこう言いました。

「あなたにも見えるのね…………?」

とたんに怖くなった私は全速力で逃げだしました。

家に帰ってからもずっと恐怖と戦っていました。布団に入ってもなかなか寝付けずやっと眠りについた時にはもう朝になっていました。翌日学校に行っても昨日のことが忘れられず授業なんて全く頭に入りませんでした。

その日の放課後、私はある神社へ行ってお参りをすることにしました。そこは、昔から不思議な力があると言われていてよく学校の人たちがお祈りをしに行く場所なのです。

鳥居の前で一礼して境内に入るとそこには小さな祠がありました。私は、祠に向かって手を合わせて願い事をしました。

「どうかこれから毎日平和に過ごせますように!」

すると突然目の前に真っ黒な霧のようなものが現れてあっという間に辺り一面を埋め尽くしてしまいました。あまりのことに呆然としているとだんだん意識が遠退いていきました。薄れゆく視界の中で黒い霧の中から手が伸びているような気がしました。しばらくするとそれらがだんだんと消えていくように無くなっていきました。

「もう大丈夫だよ、帰りなさい」

そこに立っていたお年を召した男性に突然そう言われるまま自宅に戻ったのです。それから私は奇妙な経験や幽霊のようなものを見ることはなくなりました。

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