幽霊の友達
投稿者:偽美 (28)
「そういうわけじゃないけど」
「じゃあいいんじゃない?」
私がそう言うと、彼は苦笑しながら自分の身体を見下ろしました。
「そう言われてみるとそうだな。死んだことを隠す必要もないか」
どうやら納得してくれたようです。
それから私たちは一緒に遊びました。
といっても、鬼ごっこをしたり缶蹴りをしたりするような子供らしい遊びではなくて、どちらかと言えば大人向けのゲームですよ。トランプとかオセロとか将棋とかチェスとか、そういったものを二人きりで遊んでいたんです。
もちろん学校には内緒でした。バレたら怒られちゃいますもんね。
それでも私たちにとってはそれが楽しかった。放課後になると教室に行って彼と遊ぶことが日課になっていました。
毎日のように遊んでいて気付いたことがあります。
彼と話していると時々、周りの景色がぼやけることがあるんですよ。視界全体が歪むというか、霧がかかったように霞んでしまうというか……。
最初は疲れているせいだと思いました。でも違いますよね。だって授業中はほとんど眠っていたし、体育の授業なんかは一番後ろで見学していることが多かったもの。じゃあ何が原因なのかと考えていくうちに、ふと思い出したことがあったんです。
そういえば昔、私と同じ症状を訴える同級生がいたっけ――って。
その子は普段からあまり元気のない子だったんですけど、あるときを境に急にふさぎ込むようになったみたいでした。まるで何かに取り憑かれたかのようにボーッとして、話しかけても反応しないことが多くなっていたんです。でも周りは誰も気にしていなかった。いつものことだろうと思っていたのか、あるいは本当に取り憑かれていたのか……。今となっては分かりませんけどね。
とにかくその子のことを思い出して、これは病気か何かかもしれないと思った私は、彼にそのことを話しました。すると彼は
「ああ、それなら大丈夫だよ」
と答えました。
「平気なの?」
「うん。俺がいる限りはね」
「そうなんだ……」
その言葉を聞いて、私はほっとしたと同時に少し残念にも思いました。
せっかく仲良くなったのに、これで終わりなんだなって。
その気持ちが伝わったんでしょうか。彼は笑ってこう言いました。
「心配することはないよ。また会えるさ」
「ほんとう?」
「ああ、本当だとも」
彼の笑顔はとても素敵でした。
結局、彼とはそれっきり会うことはなかったし彼のことをほかの生徒や先生に聞いても
「知らない」
の一点張りだったのですが、今でも私の心の中にしっかりと残っています。
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