事故物件に住んでた時の話フォーエバー
投稿者:ジョンガリ (8)
俺は、そんな話があったらニュースとかでやるはずだとか、登場人物が二人とも死んでいるのにそんな事細かにわかるはずがない、とやんわりと主張した。
女将は「ニュースで取り上げられたかは疎いからわからない、でも二人がそういう経緯で亡くなったのは本当だよ。」とやけに確定的な語尾で俺に告げるので理由を聞くと、
女将は以前その場所でそのカップルの霊を見たらしく、そのカップルの霊は女将に気が付くでもなく、手を繋いだまま女将の横を通りすぎて行ったとのこと。
そして通りすぎる時に女将は「ごめんね…」という女の声と「いいんだよ」という男の声を聞いた、とのことであった。
その時俺は、なんだかとってもやりきれない気持ちになった。後輩二人も同じだったのか、さっきまでヘロヘロだったAは真剣な面持ちで話を聞いていたし、Bにいたっては目と鼻を赤くしていた。
女将にお礼を言い、手に持っていたビールを一本渡し、部屋に戻って呑みもそこそこに寝た。
朝起きて、やっぱり三人ともモヤモヤした心持ちだったため、俺たちはビール二本とコンビニで買った饅頭二つを持って昨晩の心霊スポットに出向いていた。
昨晩2つの足跡があったおおよその位置の前に饅頭とビールを一つずつ置き、それら越しに俺は海をボーっと眺めていた。
海にビールと饅頭を置きっぱなしにするのはマズいかなとも思ったが、昨日砂浜を綺麗にしたし、海の神様も目を瞑ってくれるだろうと思いながら、俺は心の中で二人に敬意を払い、出てこいやなんて失礼なことを言ってしまったと詫びた。
後輩たちに顔を向けると、二人も同じ気持ちだったのか浮かない顔をしていたので俺はわざと明るい顔で飯でも食いに行こう!と言うとAもBも救われた様な顔をしていた。
去り際、俺はなんとなしに振り返ると、遠巻きに見える2セットの饅頭とビールが、昨晩見た足跡の様に感じた。
敷かれている饅頭のビニールの包装が風になびき、手を降っているような印象を得た。
今も二人で手ぇ繋いで立ってんのかなぁ とかロマンチシズム丸出しな事を考えていると、先に歩いていたAとBに「ジョンガリさーん」と呼ばれたため、俺は再び前を向いて、並んで歩いている二つの足跡を辿るのだった。
そして、観光もそこそこに俺たちは夕方頃には東京に戻っていた。
後輩二人と解散し、俺は部屋で沈む夕日を見ながらジャスミン茶とJINROを3:7で割ったジャスミンハイをすすりながら、彼女に電話をかけるためスマホに手を伸ばしていたのだった。
そして、あれから数年たった今でも 俺はふと磯の香りを嗅ぐとその時の事を思い出すのだった。
今回のお話は以上となります。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
思い出したらまた書きます。
ではまた。。。
文才あるなー。作者さんの次回作楽しみにしてます!
面白い🤣
作者さん酒好きねw
むしろお酒の話を楽しみに読んでいる自分がいる。
心中しても一緒にはなれない、霊に霊は見えないからとかも聞くけど、死んだけど手を繋いで意思疎通ができるならいいな。ただ救われてない、成仏できてないから出続けるんだろうから、その辺は悲しいけど。
お酒はほどほどに。体壊して体は遅いし、血を吐き続けて死ぬなんて嫌でしょう。