さらば 事故物件に住んでた時の話
投稿者:ジョンガリ (8)
大学生の時に女性が自殺した東京都某区の格安好立地の事故物件に住んでた時の話を1つ、また思い出したので…というか、七作目はこの話にしようと前々から思ってたのでその話を1つ…
プロローグとして、本作品群は「あぶ○い刑事」シリーズをリスペクトしているため、七作目という事で便宜上 さらば と書いておりますが、前作と同じで事故物件の話は結構 稀薄で、今作はあくまでも事故物件に住んでいた”時”に起こった話を綴らせていただきます。
それでもよければ是非楽しんでいってください。
大学四年の三月頃、といっても留年しているため五回生の三月がより正確なのだが、俺はついにこの事故物件から引っ越しする事になった。
就職先は地元だったので、とりあえず1年くらいは実家に住む予定だったからベッドなどの大型家具などは捨てて炊飯器や電気ケトル、電子レンジなど使えそうで小さいものを取捨選択していた。
卒業式も終えて結構経ち、学位記を段ボールに放り込んで荷造りを一通り終えた暇人の俺はサークルの追い出しコンパに出向いた。
我がサークルには伝統として、ピッチャーに並々注がれたカシオレの早飲み対決なる高尚な戯れがあるのだが、実は俺はいつ何時誰に挑まれてもコレに負けたことがなかった。
でもその日は学生生活最後のサークルの飲み会ということで、無謀と勇敢を履き違えて俺に挑んできた新部長に花を持たせてやることにしたのだった。
新タイトル保持者になった新部長にサークルの伝統を守れ、後は任せたぞと言うとそいつは泣いていた。
去年の追い出しコンパでは俺を追い出すことは出来なかったため、ガンヨゴ先輩(頑固なヨゴレ先輩)という不名誉なあだ名を賜っていたのだが、そんな俺もようやく年貢の納め時、ついに俺は5年間在籍したサークルを卒業する事となった。
その事実を認識した時、何故か周りの楽しそうな声が急に遠くに聞こえて、自分だけ隔離されてしまったような気分になった。
いろいろあったなぁ…と感涙しそうになりながら、俺は御猪口を口に運び、中の液体を胃の中に流し込んだ。
隣に座っていた後輩(前作のC)に最近出来た彼女のノロケ話を聞かされてうんざりしていたため、俺は逃げるようにトイレに駆け込み、用を足してから席に戻ると、サプライズでサークルの仲間たちから久保田という日本酒を貰った。
一万を越える箱入りの酒で、普段安酒しか飲めない俺は新部長が感動的なスピーチしてた時より大粒の涙を流して喜んだ記憶がある。
二次会のカラオケには出たが、そろそろ帰って明日に備えたかったため、俺は三次会の費用として新部長に5000円を握らせて、一升瓶の入った箱を片手に夢見心地で歩いて家に帰ったのだった。
家に戻ると来客があった。バイトの後輩のA(前作のA)とB(前作のB)、そして最近この二人が可愛がっている後輩であるOが、俺が段ボールに詰めた筈の漫画を引っ張り出して読んでいた。
基本的に盗まれて困るものも無いので鍵はかけたりかけなかったりなのだが、こういう物件に住んでる以上、部屋に戻って誰かがいたら相当ビビる。
俺は、せっかく貰った高級酒をアホ三人にバレない様に靴用の戸棚の奥にこっそりと隠した。
Oはこの話から約二ヶ月前に俺のバイト先に入って来た学生で、まぁまぁ有名な大学の一年だった。
俺はその時期にはもうほとんどバイトには顔を出さなかったのだが、AとBがえらくOを気に入っていたため、Oは俺らの飲み会によく顔を出していた。
実際よく気が利く奴で、その日も俺の帰宅に真っ先に気がついたのはOだった。
Oは屈託の無い笑顔で「あ、ジョンガリさん。お帰んなさい」と言うと再び単行本に目を落としていた。
俺はせっかく苦労して段ボールにしまった本をほじくり出した事に苦言を呈したが、Bの「いや、俺らも荷造り手伝ったじゃないすか」という言葉に封殺された。
手伝ってても出してたら±0じゃん…と思ったがBは年下のくせに異様に口が達者な奴で、よく言い負かされることがあるため、俺は諦めたように座り込み、単行本に手を伸ばした。
四人はしばし無言で本の内容を目で追っていたのだが、俺がマッスルスパークの詳しい構造を絵から推察している時にAが口を開いた。
実は俺たち、これからオバケ見に行こうとしてて、ジョンガリさんも一緒に行きませんか?とAは言った。
当時の俺たちは「心霊スポットに行く」ことを「オバケ見に行く」と言っていて、そんなスカイツリー見に行くみたいに言うなよと最初は思っていたのだが、次第に俺も馴れていっていた。
面白かった
待ってました!
もう投稿されないのかな…と思っていたのですごく嬉しい、そしてやっぱり面白い!
投稿者です。
いつも読んでくださってどうもありがとうございます!
それとお待たせして申し訳ないです。
大学生ジョンガリの話は、あぶない刑事のサブタイのストック終了に伴い、区切りがいいので一応終わりですが次は高校生ジョンガリの話でも少し書きます。
高校生の頃の話はあんまりないので、思い出したらぼちぼち書いてきます。
重ねて、いつも読んでくださって本当にありがとうございました!