事故物件に住んでた時の話

大学生の時に住んでいた事故物件で起きた怪奇現象についての話を4個ほど…

プロローグとして、大学に通うに際し、最初の２年間は寮生活していたのだが、大学三年頃から念願の一人暮らしをすることになったため物件を探していると、東京都某区にワンルームユニットバス家賃5万敷金礼金0、共用費0で駅から徒歩4分ほどの物件があった。

ワンルームながら部屋も広く、また駅も近かったため、穴場を見つけたなぁとこの時は思っていたのだが、一階の店子の店員さんと喫煙スペース(灰皿を置いた階段の踊り場)で会った際に言われた「え！？○○号室住んでんの！？よく住めるね」という一言で評価は一変した。

というのも俺の住んでいた部屋は女性が自殺した部屋らしく入居しても何故か長く居着かないというものだった。
申し込みに行くときにそういう説明はされてなかったのだが、事件後何人か入居者がいたら説明を省いてもいいという制度があると聞き、俺は虚を突かれた様な気がした記憶がある。

とは言いつつも当時は花の大学生、ほぼ毎日友達や先輩後輩と飲み歩き酔った友達を泊めていたのだが１ヶ月たった頃から異変が起きる。泊まった友達が全員似たような夢を見ていて内容に女性が出てくるというものだった。
俺はその話を聞いたとき、心底ゾッとしたような気持ちになったのだが自分自身は何故かそういう夢は見ないので特に気にせずJINROのストレートを飲んでその都度忘れていた。そして入居2か月後、友達のT君が夢を見たのを最後に「泊まった友達が同じ夢を視る」という怪奇現象は何故か止んだ。というのが一つ目の怪奇現象である。

二つ目は、一つ目と同じ時期の話なのだが入居して2~3週間くらい？たった頃、深夜ベットで横になって寝ていると　バァンッ！！！！　と大きい音がし、その後 ｷｭｷｭｷｭ と擦るような音がした。どうやらガラス戸からした音らしいのだが田舎育ちゆえ、よくガラス戸にぶつかる鳥などを見ていたため気にせずにそのまま寝た。

朝起きてふとガラス戸を見ると、手形がついていた。しかも内側であった。

指が細く、全体的に縦長で女性のような手だと思ったのだが、指の跡が長すぎる。。。
よくよく見てみるとそれは下にずり下げたような跡だとわかった。昨晩のｷｭｷｭｷｭｷｭという音の正体が解り俺は心底ゾッとしたのだが、1限に間に合わなくなりそうだったので、半ばパニック気味にとりあえずその場で脱いだパンツでそれを拭き、洗濯かごに投げ入れてシャワーを浴びて大学に行った。
帰ってきても特に他の異変は無かったので気にしないことにした。

三つ目の怪奇現象は、夏あたりだったから入居して5か月後くらいだったと思うのだが、深夜に嫌な汗をかいて目を覚ました。
水を飲もうとベットから起き、冷蔵庫に手をかけて左側に違和感を感じた。
恐る恐る左側を見たら、1.5畳ほどの距離を空けて玄関があるのだが鍵もちゃんとかかっているし幽霊が立っているでも無く普通なのだが違和感は拭えない。
結論から言うと、玄関の下の隙間から廊下の光が線状に漏れているのに覗き窓が暗くなっていたのが違和感の正体だった。これはマジで怖かった。

俺は手に持っている水を冷蔵庫に戻し、代わりに冷凍庫から角瓶を取り出して5、6口ほど飲んでベットに戻り震えながら寝た。
起きても特に部屋に変わった様子は無かったので、サッと身支度をして大学に向かったのだが部屋を出る際に護身用のシャーペンを握りながら扉を開けた時は人生で一番緊張した記憶がある。

四つ目の怪奇現象は入居して一年後くらいの話で、後輩2人と鏡月6本を部屋に招き就活の鬱憤を晴らしていた。
トランプのドボンというゲームで後輩からお金を巻き上げ、または巻き上げられ、大いに楽しんでいた記憶がある。
飲み会後半、財布が空になったためゲームで負けたらショットグラス一気に内容が変更されたのだが、俺はかなり酔いがまわっていたためキャップがうまく閉められず、誤って落としてしまい、玄関までキャップが転がって行ってしまった。
ヤバいヤバいと思い、座布団代わりの枕から尻を上げてハイハイの格好のままキャップを追いかけたのだが、3人しかいないはずの部屋の玄関に靴が4セットあった。
それどころか内1セットからは大根くらい白く細い足が2本伸びていた。

膝下くらいまでしか視界に入らなかったのだが、実際こういう場面に出くわすと上を見上げられないもので、俺は人形浄瑠璃の様な動きをしながら体を180度回転させハイハイで後輩2人の元に戻った。
わざと明るく努めて、鬼のように鏡月を胃に流し込み、後に後輩2人に聞いた所、速攻で潰れたらしく朝起きると部屋には誰も居なかった。