事故物件に住んでた時の話フォーエバー
投稿者:ジョンガリ (8)
大学生の時に女性が自殺した東京都某区の格安好立地の事故物件に住んでた時の話を1つ、また思い出したので…
プロローグとして、本作品群は「あぶ○い刑事」シリーズをリスペクトしているため、五作目という事で便宜上フォーエバーと書いておりますが、リターンズと同じで事故物件の話は皆無で、今作はあくまでも事故物件に住んでいた”時”に起こった話を綴らせていただきます。
それでも良ければ是非楽しんでいってください。
大学4年生の夏頃、正確には留年しているため5回生なのだがその年の前期と昨年の後期の頑張りでだいたいの卒業の目処がつき、また就活もそこそこ上手くいっていたため、俺は来年からは得ることの出来ない人生最後の夏休みを大いに謳歌しようとしていた。
付き合っていた彼女は社会人一年目で慣れない仕事に食らいつき、大いに頑張っていたのだが、学生と社会人だとやはりすれ違いというか、気まずさというか、向こうは大人になったのに自分は未だに子供だというような置いてけぼりの感覚があり、若干疎遠気味になってしまっていた。
ある晩、去年とはうって変わって就活や卒業、卒論共に順調な俺は、手持ちぶさたのような、俺だけ止まっちゃってるんじゃないかというような、あるいは「大人になんてなれるのかなぁ…」というような焦燥ともセンチメンタリズムともとれる気持ちに気が付かないふりをしながら、可愛がっている北海道出身の後輩(以下Aとする)と二人で馴染みの居酒屋でわざとらしくはしゃいでいたのだった。
その居酒屋の気に入っている点は三つあり、
一つ目はボトルキープが出来ること、二つ目はボトル一本購入で券1枚貰え、10枚でボトル一本サービスされること、三つ目はその店の店主が入店時のチャイム音をFamilyMartのチャイム音にしていることであった。
ファミマのチャイム音が鳴り、俺が顔をあげるともう一人の可愛がっている東京出身の後輩(以下Bとする)が間抜け面を引っ提げて靴を脱ぎ、俺たちのいる座敷の方に向かって来ている所であった。
三人で、サービスの緑茶とキープしていたJINROを3:7で割った緑茶ハイと、安っぽい銀の皿に盛り付けられた こてっちゃんの野菜炒めを肴に大いに盛り上がっていたのだが、その日の議題はいつもと違っていた。
「ジョンガリ(仮名)さん、今年卒業じゃないっスか…だからまた三人でどっか行きたいって話を前からしてたんですよ」と後輩二人は俺に言ってくれた。
酒のせいもあり、俺は目頭が熱くなる思いがした。
ちょうど一年前、俺の出身県に三人で旅行したのだが山が多かったので今年は海に行こうという話になった。
前回はスーパー銭湯で寝泊まりしたため、割高でも宿を取ろうという話になり夏休みの終わりごろに一泊二日で伊豆に行くことになった。
何故伊豆に行くのかというと、そこには 必ず 幽霊に会えるという海岸があるからとの事であった。
AとBは俺と波長が合うというのもあるのか、俺の家にしょっちゅう遊びに来ることや去年の心霊スポット探検から、今まさに心霊現象の魅力にハマっています!といった様子で、俺は自分が失ったかつての輝きを懐かしむような感情を抱いていた。
俺はもう二度と心霊スポットになど行かないと去年心に決めていた筈なのだが、喉元過ぎればなんとやらで、あの時の固い誓いは風化して砂になっていたのと、アルコールが脳を支配していたため二つ返事でオッケーを出していた。
人生最後の夏休みは、バイトもそこそこに、
実家に帰ったり、その後輩と三人で俺の家の狭いベランダで七輪パーティーをしたり、
卒業して社会人一年目の友達たちと飲みに行ったり、サークルの後輩達とビリヤード+ダーツ大会をしたり、
彼女に電話しようとして、やっぱり勇気がでずに止めてみたり と緩やかかつ瞬く間に過ぎていった。
レンタカーを借り、東京の世田谷辺りを通り、二子玉川を越えて神奈川に突入した。
俺は車内でORANGE RANGEの「イケナイ太陽」やFLOWの「GO!!!」を流したのだが、後輩二人はギリギリ世代では無いらしく、ジェネレーションギャップを大いにいじられたものだった。
おじさん扱いされた怒りと、でもやっぱり楽しいという気持ちを抱きながら窓の外の景色に目をやり、俺は後輩のどちらかが流したTHE ORAL CIGARETTESの「狂乱 Hey Kids!!」に耳を傾けていた。
文才あるなー。作者さんの次回作楽しみにしてます!
面白い🤣
作者さん酒好きねw
むしろお酒の話を楽しみに読んでいる自分がいる。
心中しても一緒にはなれない、霊に霊は見えないからとかも聞くけど、死んだけど手を繋いで意思疎通ができるならいいな。ただ救われてない、成仏できてないから出続けるんだろうから、その辺は悲しいけど。
お酒はほどほどに。体壊して体は遅いし、血を吐き続けて死ぬなんて嫌でしょう。