恐怖の「だるまおばさん」
投稿者:希子 (19)
地方出身の友人Aに聞いた話です。
Aが住んでいた小さな町では、「だるまおばさん」という恐ろしい存在が出没するという都市伝説がありました。なんでもダルマさんのように巨大な体の中年女性が、夕暮れの薄明時に小さな子供をさらって殺してしまうのだそうです。
Aが小学生だった頃、初めて学校の友達からその噂を聞いた時は、何となくユーモラスな妖怪の姿を想像しました。ところが帰宅後、母親にその事を話すと、顔つきがきっと変わりました。「その話、誰から聞いた?どこで?最近も出たって?」と、矢継ぎ早に聞かれて戸惑った所、「覚えていないんだろうけど、あんたも危なかったんだからね」と言われたのです。
Aが3歳の頃、一人で庭で遊んでいて、母親が呼びに出てみると物置の陰で、大きな中年女性に押しつぶされそうな形になっていたと言います。驚いた母親が絶叫すると、赤い薄汚れたコートを着たその女性はものすごい速さで逃げ出しました。ぎりぎりセーフで無事だったAは、きょとんとして何が起きたのかわからないようでしたが、両親はもちろん通報しました。しかし数十年前という昔の田舎町の話で、当時は幼児虐待や犯罪の認識もなかった事から、町内会で「不審者に気を付けましょう」くらいの呼びかけで終わってしまったそうです。
その不審者が今度は妖怪じみた都市伝説として再来したのか、と考えてAの母は相当に不安になった事でしょう。Aにトラウマの記憶がなかったのは、不幸中の幸いだったと本人も認めています。
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