甲虫の不思議な死
投稿者:希子 (19)
リアルに想像すると、かなり気持ちの悪い体験談だと思います。(特に虫の嫌いな方は、ご注意下さい)
小学校低学年の頃、私は田舎に住んでいました。自然が豊富で、家の庭にもたくさんの昆虫類がいました。私は毎日、色々な虫を見つけては喜んでいました。
ある時、大きな甲虫が椎の木の幹にいるのを見つけて、私は思わず捕まえました。かぶと虫でもクワガタでもない、やや緑がかった黒光りのする丸っこい身体に、長い触覚のある虫です。手持ちの図鑑を見てものっていないし、両親も祖母もこんなの初めて見た、と言います。虫かごを持っていなかったので、プラスチックの小さな箱を用意し、その中に閉じ込めておきました。次の日の朝、箱を開けてぎょっとしました。
虫が、破裂していたんです。
箱の内面全体に、身体のかけらがべとべとに貼り付いていていました。まさに爆発したような状態だったのですが、あまりの惨状を見て私が叫ぶと、家族がやってきました。母は「嫌だっ、気持ち悪い!さっさと捨てなさい!」と声高に言いました。
呆然とする私に、祖母が優しく言いました。「…たぶんこの虫は、箱に閉じ込められたことがあんまり悲しくて、心が張り裂けちゃったんでしょうよ。かわいそうな事をしたよね…」
祖母と一緒に庭の隅にその虫を丁寧に埋め、私はもう二度と虫を捕まえないようにしよう…と涙を流しました。
ところで、虫があんな風になって死んでしまうなんて事、あるのでしょうか。そこの不思議に気が付いたのは、大人になってからの事です。
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