階段の数
投稿者:希子 (19)
短編
2022/07/09
21:56
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先日久しぶりに友人3人と温泉に行きました。
久しぶりだったので本当に楽しくて大はしゃぎ。
温泉街にありがちな階段をいい年をして3人で数を数えようと心臓を気にしながら数えて上がって行きました。
「何段だった?」と3人声を揃えて言うと、真ん中を歩いていた子が1段少ないのです。
「もう歳だもんね。足ももつれるし、途中で数が分からなくなるよね〜」なんて言いながら
真ん中の子はとても気になったらしく、「もう1回だけ、いい?」と言うのです。
温泉あがりで暑かったのですが、また心臓を気にしながら浴衣もはだけながら汗だくで登りました。
「何段だった?」と一斉に答えるとまさか、また真ん中の子だけが1段少ないのです。
流石に「一段目は段があるところからだよ!」と半分疲れたので強く言ってしまいました。
「もちろん、それが普通だよね?なんで?」とせっかくの温泉旅行が階段の段数でぶち壊しになりそうでした。
すると、それを見ていた階段の途中にあるまんじゅう屋のご主人が、
「そうやってみんな数えるんだよ。ある日な、男達が同じことをやってたんだよ。そしたら真ん中の男が倒れてな。持病があったとかで病院でなくなったんだと。みんな一段分その男に足を掴まれているんだよ」と。
汗だくの顔から、すーっと血の気が引きました。
私は今でも友人がボケていただけなんだと信じていますが・・・。
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