僕は当時の記憶を思い出して、あの時、押し入れの中で何かの気配を感じた事、何かに足首を掴まれた事を想起させ、目の前のクローゼットに言い知れぬ恐怖を感じました。
ゴソゴソ。
僕が直立不動でいると、クローゼットの中から微かに何かが擦れるような音が聞こえてきます。
季節ものの衣服を締まった衣装ケースや学校用具、野球やサッカーで使うボールやグローブ何かの雑貨が押し込まれたクローゼットから聞こえる音としては違和感があり、ゴキブリ等の虫が這うには大きな音でした。
ドッ、ドッ。
今度は何かを小突くというか、たまたま固い物が壁や扉にぶつかったような音が鳴ったので、僕は肩を跳ねました。
確実に何かが居る。
そういった確信が僕に恐怖心を抱かせると、どうにも足が竦んでクローゼットを開ける勇気が出なかったのです。
しかし、両親に助けを求めればいいものを、どうしてか、僕は意を決してクローゼットを開けて中を確認する事に決めました。
ガッと観音開きの扉の片側を引くと、上段下段と分かれた空間に荷物があるだけでした。
僕はおずおずと中を覗くように頭を突っ込み、クローゼットの内側、天井の方を見上げます。
まあ、天井も特に代わり映えのないダーク色の木目があるだけだったので、僕は拍子抜けといった感じで顔を引っ込めようとしました。
ところが、
ガサ…、ドッ。
という明らかに無視できない音が真横から聞こえたので、僕は硬直した体を無理矢理動かすように顔を向けると、
『あーーーーー』
と、顔の面積の半分くらい口を開けた子供が荷物の奥から僕を見ていたのです。
「……わっ!?ひっ!?」
僕は勢いよく後頭部を扉の縁にぶつけると、激痛に耐えながら部屋を飛び出しました。
滑るように一階に逃げてきた僕は、リビングでくつろいでいる両親に歯切れの悪い言葉を並び立てて助けを求めたのです。
「く、クローゼットに!子供!知らない子!」
両親は僕が寝ぼけて怖い夢でも見たのかと思ったのか、困ったように相互に顔を見比べた後、
「落ち着いて話してみ」
と、父が僕の肩に手を置いて優しく声をかけてくれました。
僕は深呼吸してから動悸を落ち着かせると、簡潔にさっき体験した事を話し、クローゼットに知らない子供が隠れていたと伝えます。
このことから両親は僕が寝ぼけていないと気づいて、「もしや本当に不審者が家に?」と顔を強張らせました。
父はドライバットを握り絞め、母は何故か殺虫剤を片手に父の後ろについて、両親は不安気な僕を先導するように二階へ上がります。
スパイ映画のエージェント宛らジェスチャーでこれから部屋に突入する事を父は僕達に伝えると、僕と母は無言で頷きました。
父が半開きのドアを指先でトンと押し開くと、そのまま躍り出るようにして中へ突入してドライバットを上段に構えます。
しかし、誰も居ない事を目視で確認すると、ドッと肩を落として振り返り、誰も居ないよと溜め息をつくのです。



























結局なんだったんだ…不気味だ
顔が思い出せないなんて・・・・
ためはち
うわー不気味で夜しか眠れない
怖い…のか?
意外に怖いんだけど