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心霊

J2さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

廃業した老人ホーム
長編 2022/05/08 15:04 3,840view
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職員の若い女性が声をかけてきました。「3週間お疲れ様。よく続いたね。」

思わず「え?」と戸惑っていると。

「終わったから言うけどね、ここって新人さんが全く続かないの。3年前に入った新入社員7人も今は全然残っていないし。

2年前に入社した人なんて1年も続かなかった。昨年は新人の応募すらない。

〇〇さん(私)は3人の中でも元気そうで根性あると思ったから、続くだろうなと思ったんだ。

私も入社して5年迎えるけど、最近は謎の背部痛、腰痛が酷くてもう潮時かなって思ってる。

就職するなら良いところ選びなよ。」

そう言い残して去っていきました。

確かに友達と揉め事になって学校に行くのが嫌になったタイミングで迎えたボランティア。

3週間、喧嘩している友達と顔を合わせずに済むという喜びで活気に満ちていたのは3人の中で自分だけだった。

急にトイレのコールや見知らぬ男性に声をかけられたことがフラッシュバックしました。

「やっぱり友達にちゃんと謝ろう。」そう思いながら帰宅しました。

やがて私たちはその後内定が決まり、それぞれの進路に向けて卒業の時を迎えました。

私がボランティアとして行った老人ホームに入社を決めた友達が1人いました。

1日でリタイアになった友達が真剣な形相で「あそこだけはやめた方が良い。」と何度も勧めていましたが、「なんで?」と訊かれても決して理由までは言おうとしませんでした。

決めた内定を取り消すわけにもいかず、そのまま友達は入社を迎えました。

卒業から1年程経った頃。

例の老人ホームに入社した友達から電話が来ました。

「職員が何を言っても話が通じないの。私っておかしいのかな?」

「え?職員が?お年寄りじゃなくて?」

「うん。毎日「体調大丈夫?」「体調気をつけてね」って話しかけてきて、「今日は気分が悪くて。」って言っても「体調気をつけてね。」って笑顔で言うの。

同じ話ばかり繰り返すし、私がしんどくても誰も心配すらしないの。「気をつけて」しか言われないのが逆に怖くて。」

そう話す友達に不安を感じつつ、さらに1年後。

「腰痛、背部痛、神経痛、リンパ浮腫で限界。今日退職願出してきた。」と連絡がありました。

久々にその友達と再会した時、まるで別人のように太った彼女の姿がありました。

「ストレスで過食をしてしまって、摂食障害と糖尿病のリスクもあるんだ。」

そううつむいて話す彼女が見るに耐えられませんでした。

「あのね。私は偶然にも3週間のボランティアで何もなかったけど、2人もリタイアした人を見送ったんだ。やっぱりあの老人ホーム何かあるよ。」

そう言った私に友達は「じゃあ何もないのに鳴るコールも、目の充血した見知らぬおじさんが夕方に廊下を徘徊しているのも知ってる?」と言います。

「コールなら私も知ってる。知らないおじさんに声をかけられたこともあるよ。」

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