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不思議体験

アマリリスさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

不思議の国のアリス症候群
長編 2022/03/09 07:50 45,539view
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あの時、村人に矢を向けられ私は死を覚悟したがこうして生きている。
それは誰かが病院へ担いでくれたからなのだが、看護師や医者に訊ねても一様に返答が曖昧なのだ。

車で誰かが運んできたとか、普通に救急搬送されてきたのでは、など、様々な解答が出てくる。

A子達が入院している形跡もないことも、受付に聞いた。

二つ目は、その姿を眩ましたA子達が行方不明であること。

地元では捜索願いが出されており、私は退院後、連絡のつかないA子達が心配になり大学の事務員に所在を訊ねたところ、数ヶ月前、私が入院していた日から大学へ来ていない事が発覚した。

A子達の両親が大学に来て詳細を事務員に訊ねた際も私は立ち会っており、彼等の両親からは本当に行き先を知らないのかと質問責めにあったからよく覚えている。

私は某県のキャンプ場へ赴いたこと。
そこで空洞を見つけ中に入ったら変な集落があり村人に襲われたこと。
そして、これまで入院していたことを正直に話した。

しかし、彼等の両親達は私が口から出任せを言っているようにとらえたのか、若しくは精神疾患があるととらえたのか、訝しむばかりだった。

それから私達は警察へ相談に行き、私はキャンプ場で起きた出来事を一から説明したが、やはり警察も困ったように表情を曇らせる。

ただ、キャンプ場で遭難したことは捜査の視野に組み込まれ、捜索は行われた。
私もA子達の両親に混じり捜索に参加したが、成果はなかった。

渓流沿いに従い、例の倒木が積み重なってできた空洞を見つけはしたが、その空洞は太陽の光で奥が見えるほど浅く短い穴であり、中は枯れ木が嵩張るだけだった。

私は駆け寄って落ち葉をかき出し、素手で土を彫り上げる。

「なんで!?なんで!?」

狂ったように穴を掘る私を見兼ねた警察の一人が、私を宥めるようにして優しく肩を抱き立ち上がらせる。

「本当に、ここで……!」

涙を浮かべて訴えかけようとした私は、周囲の視線が憐愍、更には憤怒であることに気付き、警察に支えられながらその場を離れることになった。

それ以降、私は捜査から弾かれることとなり、そればかりか精神科への通院を余儀なくされた。

今でも精神科へ通う度に思い出す。

私が訪れた集落はまやかしだったのか。

A子やCにDはどこへ消えたのか。

未だあの集落にとらわれているのか。

もしかして私がこうして精神科に通っている現在も逃げ回っているのでは。

だけど、私は何もできない無力な人間だ。
こうして真相を知っているにもかかわらず、集落への入口を見つけられず、周囲からは精神病患者扱いされている。

ただ一つ気掛かりなのが、誰が私を病院へ連れていってくれたのか。

もしかしたらA子達は生きて脱出しており、私を病院へ運んでくれたのではないかとも考えた。

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コメント(3)
  • ファンタジー読んでるみたいで面白かったです

    2022/03/09/09:29
  • 読み応えがありましたが、本当に不思議な話ですね。

    2022/09/26/09:52
  • なんか・・・・
    こわ・・

    2024/11/07/20:33

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