奇々怪々 お知らせ

心霊

イエティさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

憑かれた話
短編 2021/05/11 16:44 6,056view
0

心霊現象に悩まされるようになった。

例えば、壁に”/”みたいに立てかけてた鏡が、”│”の字に起き上がるように”\”前倒しで倒れたり。
分かりづらかったらごめん。

住んでるアパートの寝室は引き戸で、俺は性格的に押入れとかも含めてちょっとでも開いているのが嫌なんだが朝起きると引き戸が全開だったり。

出先のパーキングエリアで展望台でのんびりしていたら、後ろから強く押されるような感覚があったり。
ちなみに平日の昼間だったから人は少なく、俺を押せるような距離には誰もいない。

飲んでもいない、見たことも無い古いジュースのビンが運転席の足元に転がっていたり。
気付かず発進していたら危なかっただろうな。

最初は怖くてたまらなかったが、1か月経った頃にはすでに慣れてしまっていた。
いたずら好きな幽霊に憑かれてしまったんだろう、と思っていた。

確認できた最初の現象から2か月ほど経った頃、ついに命の危険を感じることがあった。
自炊なんてめったにしない俺だが、その日はたまたまお隣さんから釣ってきたヒラメをもらって、ちょっと料理しようかなあと台所に立っていたんだ。

ムニエルってどうやって作るんだっけな~と思ってスマホで検索していたら、まな板の上にあった包丁がゆっくりと動き出した。
うわ刃物はまずいって…と思いながら見ていると、包丁はゆっくりと刃先を俺の方に向け静止した。

これどうなるんだ?と思いながら目が離せずにいると、包丁を握るしわしわの手が見えた。
うっすらと。ほぼ透けている状態。

これまで目に見えることなんてなかったから、あまりの恐怖に動けずにいた。
で、なんとなく、その手の握りが強くなった気がした。

あ、これやばい!と咄嗟に感じ横っ飛びすると、包丁は0.5秒前まで俺の腹部があったであろう場所目掛け飛び出した。
間一髪避けた俺は、背後にあった食器棚に深々と突き刺さる包丁を見て、お祓いに行くことを決めた。

お祓いを受けることにした俺は、ネットで見つけた霊媒師さんの元へ行くことに。
よく分からない儀式みたいなことを2~3時間かけてやってもらった。
10万円取られた。

「しばらく直接的な被害はないでしょうけど、時間の経過でなんたら儀式の効力が弱まったり、私からあんまり離れたりすると再発しかねません。できれば〇〇県内で留まり、きっかけとなった場所に出向いてこれを供えなさい」

と、木彫りの十字架みたいなものを渡された。
きっかけとなった場所と言われても、心霊スポットになんて行かないし、見当もつかない。
どこで憑かれたかわからないというと、〇月〇日の自分を振り返りなさい、とだけ言われた。

友人とのLINEや、スマホアプリのカレンダーを見ていると、その日友人とキャンプに行ったことを思い出した。
すげえなこのおばちゃん…と思いながら、俺はそこを後にした。

幸い霊媒師さんも自宅もキャンプ地も〇県内。
”時間の経過”に陥る前にキャンプ地に行こうと翌日会社に休みをもらった。

1/3
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。