頭上の足音
投稿者:イエティ (51)
短編
2022/06/06
19:05
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彼女とホテルへ行った時の話。
高速道路沿いにあるホテル街だ。
田舎ゆえに小汚い古いホテルが多い中、一軒だけ綺麗なホテルがある。
値段も周りと比較するとちょい割高だが、煙草の匂いが染みついたボロホテルよりましだ。
やることやって、0時を回ったあたりで眠りについた。
深夜2時ごろ、上の階の足音で目が覚めた。
うるせえなあ、と思いながらも布団をかぶって耐える。
が、足音は鳴りやむことがない。
彼女も起きてしまったようで、もぞもぞしている。
足音を聞いていると、どうやら同じ場所をずっと往復しているように聞こえる。
ちょうど俺らの真上あたりから、部屋の端まですり足で歩く。
そんな足音が結局朝の5時頃まで続いた。
慣れてきてたまに眠れそうになるタイミングはあれど、時折混ざるトントンという普通の足音で目覚める。
半分寝た状態だったからかそんな長い時間経ったとは思っていなかったが、さすがに迷惑にも程がある。
彼女は寝ていたが、苛立ちもあってフロントに電話をかけた。
「上の階の足音がうるさいんですが」
「上の階…ですか?いまは誰も入室していませんが」
音楽を爆音で流し、布団に潜った。
それ以降は足音は聞こえず、11時頃に起床。
彼女には部屋を出るまでは上の階に誰もいなかったことは伝えなかった。
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