学校近くの廃墟にあった開かない金庫の話
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/06/04
14:45
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その部屋は真四角で、一つしかない窓から朱色の陽光が射し込んでいた。
全体に古ぼけた感じだ。
ただ室内の一つ一つの調度品にはどこか品があるようだ。
室の片隅にある重厚なマホガニー製の机。
その後ろの壁には中世ヨーロッパのどこかの王妃が描かれた油絵が飾ってある。
そして机の横には子供の背丈ほどの古く錆びついた金庫があった。
まだ少年の森本はその自分の背丈くらいの金庫の扉を必死に開けようとしているのだが、びくともしない。
彼は何度となく頑張っていたがやがて手を止めると、
「駄目だ」
と力なく呟き、そのままの姿勢でがっくりと項垂れ途方に暮れていた。
そして呆然としながらじっと扉を見つめている時だ。
─ガタン!
突然レバーが下がった。
驚いて尻もちをつく森本少年。
それから扉はすこしづつ開きだす。
ギギギ、、、ギギギ、、、
そして
※※※※※※※※※※
「わああああ!」
情けない悲鳴を上げながら森本卓は半身を起こした。
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