学校近くの廃墟にあった開かない金庫の話
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/06/04
14:45
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そして辺りを見回しいつもの寝室であることが分かるとホッと一息をつく。
心臓の激しい慟哭が少しづつ止んでいくのがはっきり分かる。
かなり汗をかいているのか肌着が濡れているのを感じていた。
喉がからからだ。
「あなた大丈夫?かなり、うなされてたけど」
隣で寝ている妻が心配そうに声をかける。
「ああ、大丈夫だ。
どうやら、また怖い夢を見たみたいだ」
そう言って彼は額の汗を拭った。
※※※※※※※※※※
森本がこの夢を最初に見たのは小学校高学年の頃であり、それからも事あるごとに苦しまされてきた。
今年の春に三十路を迎えた後はしばらくなかったのだが、夏も近づいた頃からまた同じ夢にうなされている。
森本はこの悪夢には心当たりがあった。
心当たりというよりも、それは決して消せないトラウマかもしれない。
この先いつまで、このトラウマに苦しまないといけないのか?
それで彼は心の中で一つの小さな決心をした。
※※※※※※※※※※
それはようやく山々に紅葉が現れ始めた、9月のある曇り空の日曜のこと。
妻にはちょっと出かけると言って彼は家を出た。
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