【強行遠足事件】-女子高生 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
その日、運動部の学生たちは思い出した。朽屋に1位を取られた屈辱を・・・。
年に一度の【K女学園強行遠足】を前にしたこの日、陸上部、バレー部、バスケットボール部、剣道部、ソフトボール部に卓球部までもが《打倒! 朽屋 瑠子》をスローガンに、エールを交換しあった。
さもありなん。昨年の大会では、入学したばかりの1年生であり、しかも運動部にも所属していなかった朽屋 瑠子(くちや るこ)にぶっちぎりトップを許してしまう失態を犯していたのだ。とくにマラソン、競歩、駅伝などの全国大会でも活躍する陸上部の面目は丸つぶれ。恥を忍んでお願いした朽屋のスカウトもままならず、苦い記憶となっていた。朽屋が2年生となった今年、連覇だけはさせるものかと、運動部員たちは燃えたぎっていた。
このK女の【強行遠足】とは、某市民公園から山へ入り、峠道を通って山の中腹あたりにある系列の教会へ寄り、そこから下って湖まで歩く行程約30キロの道のりを走破する、年に一度の行事である。高等部1年生から3年生までの全校生徒が参加する大会であり、一応16:00がゴールの締め切りとされている。それを過ぎてもゴールできなかった者は途中の関所でリタイヤし、帰りのバスに拾ってもらうことになっていた。
また、この大会は完走することが目的であり、時間などの記録は取っていない。したがって走ってもいいし、歩いても良いというのが表向きのルールだ。だがそれは一般の生徒の話であり、運動部員たちにとっては当然違う。順位も時間も関係してくる。非公式記録というやつだ。約30キロの距離でありフルマラソンほどの距離ではないが、上りと下りがある峠道。平坦な道路を走るよりも負荷がかかる。その距離を運動部員たちは速い選手だとだいたい2時間半~3時間くらいで走破する。一般の生徒では3~5時間、遅い子で6時間かかる場合もある。
その距離を、朽屋は危うく2時間を切りそうになるスピードでゴールした。
だから今年は2時間切りを狙ってくるに違いない。各運動部員たちはそう睨んでいた。
・・・・・・
「ねぇねぇルコちゃん。運動部の人たち、なんだかすごく殺気だってるわよ。『打倒!!朽屋 瑠子だって」朽屋の親友である貴澄 頼子が語りかける。
「えぇ~マジ? しょうがないな。いっちょお相手してやりますか」と朽屋。
「意外とノリ気なのね」
「頼子ちゃんはどうするの?走る?」
「私は自然を満喫しながらのんびり行きます」
「それもいいかもね~そういえば途中に温泉あるって聞いたな」
「そこまでノンビリはしないけど~。まぁルコちゃんは頑張って打倒されてください」
「ええ~頼子ちゃん辛辣やな~」
その時、廊下の隅で何やら生徒らが揉めているようだった。
A子「おまえ、明日休んじゃえよ」
B子「そうよ、足ひっぱられちゃかなわないし~」
C子「そーゆー問題じゃないでしょ。この子にも頑張ってもらわないと。ネ!?」
そんな風に3人の女子に囲まれて萎縮しているような子がいた。
D子「・・・」
「オイオイオイ、そこで何やってんだ1年ぺぇ~イジメか!?許さねぇぞ」朽屋がヅカヅカ先輩風を吹かせて近寄って行く。
「なんでもすぐクビ突っ込みたがるのよねぇ、ルコちゃんは」後ろから付いて行く頼子。
kamaです。朽屋瑠子シリーズ第14弾は高校時代の「強行遠足事件」です。
ジャンルを不思議体験のところに入れたので、「創作なのになんで体験なんだよ~」と思う方もいるかもしれませんので一応弁明させていただくと、朽屋瑠子シリーズは楽しめるロマンホラー要素をもちつつ、ボクの書いた怪談を解決していく役目を持っています。で、今回のお話はボクが高校時代に体験した「強行遠足2年目の死」という実体験を朽屋たちに追体験してもらって、おもしろおかしくしてもらおうと考えた企画なので、ベースはボクの体験なのでいいかな、と思ってこのジャンルにしました。みなさんもぜひ、エンタメとして気軽にお楽しみください。
実体験をベースにしたようですが、車の中に白骨を見つけたのですか?
よかったです。休み時間に読んでてあぶなく泣きそうになりました。
今回は、友情、協力、諦めない、色々な要素が盛りだくさんで面白かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただいてなによりです。
相棒の貴澄頼子が、高学年になるほど辛辣になって行くところも、シリーズ通して見るとおもしろいですよ。お楽しみください。