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呪い・祟り

Mineさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

貰ったぬいぐるみのこと
長編 2023/11/02 23:59 6,739view
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私の住むマンションの1つ下の階にかつて、Sさんという女性が住んでいました。

初めはエントランスですれ違う時等に会釈をする程度だったのですが、休日に近所の公園で幼稚園児の娘のリサを遊ばせていた所、同じくその公園に夫婦で散歩に来ていたSさんに声をかけられて世間話をしたのをきっかけに、Sさんとは平日にランチに行ったりお互いの部屋でお茶をする仲になりました。

Sさんと私は歳も近く話題も共通しているので旧知の仲の様に会話は弾み、時間が経つのも忘れるほどでした。
Sさんと懇意になって数ヶ月後、Sさんの夫が仕事で転勤となり、Sさん夫妻はマンションを引越すことになりました。

引越し当日の夕方、Sさんは有名菓子店の紙袋を持って別れの挨拶に来ました。

「今までありがとうね。色々楽しかったよ。……あ。あとリサちゃんにはこれあげるね。ずっと大事にしてあげてね。」 

そう言ってSさんはウサギのぬいぐるみを渡して来ました。
以前娘と2人でSさん宅にお邪魔した時、窓辺に飾ってあったそのぬいぐるみを娘がとても気に入ったのを覚えてくれていたようです。

「本当にいいの?良かったねー、リサ。ほら、お礼をいいなさい。」

「ありがとー!」

そのコミカルでとぼけたような表情のウサギを抱きしめながらリサは嬉しそうに言いました。

娘の様子がおかしくなったのはSさん夫妻と別れてから1週間になる頃だったでしょうか。

自分の腕や脚を血が出るまで掻きむしる、顔や頭を叩く、酷い時には床や壁に頭を打ちつけると言った自傷行為を頻繁にするようになったのです。

何度も強くやめるように言い聞かせましたが効果はなく、何故そんな事をするのか問いただしても要領を得ない答えが返って来るばかり。
娘の自傷行為は時と場所を選ばず幼稚園でも発作的に始まるようで、心配した先生からの連絡は一度や二度ではありませんでした。

娘が自分の体を痛めつける時のあの憎しみのこもった目は今も鮮明に記憶に焼き付いています。

そして娘の変化はもう一つあり、それは夜中に悪夢をみて泣きながら私の所へ来る頻度がかなり増えた事です。

以前も怖い夢を見て泣く事はもちろんありましたが、せいぜい月に一度あるかないかでした。
これが週に3、4回にまで増えるのはさすがに異常と言わざるを得ません。
しかも悪夢の内容はバラバラではなく、いつも同じ”怖い人”が出て来ると訴えます。

どの様な夢なのか尋ね、幼い辿々しい口調で説明した娘の言葉をまとめてみると——

娘は夕暮れの部屋で1人、あのウサギのぬいぐるみとおままごとをして遊んでいます。
すると部屋に1人の女が入ってきました。
女は腰まで届きそうな伸ばしっ放しの髪で白いノースリーブのワンピースを着ており、体は陽にあたった事がないように青白く、痩せ細っています。

さらに異様なことに顔、首、胸元、腕、脚…とにかく服から露出している全ての部分には赤く血の滲んだ切り傷がびっしりと肌を埋め尽くす様に無数に刻まれていました。

その女は娘を見つめるとゆっくり両手を上げて手の平同士を顔の前で合わせ、祈る様な合掌の姿勢を取りました。
そのまま俯き気味に目を瞑り、聞き取れない程の早口の囁き声で何事かをぶつぶつ呟き始めます。

娘は怖くなり部屋を出て玄関を開けて外に出ますが、外廊下の先にあの女が立っていてやはり娘に向かって一心不乱に拝んでいます。

急いで階段をかけおりエントランスを出たところ、向かいの歩道にまたあの女が両手を合わせて佇んでいました。

薄暗い街には人も車もなく、娘は誰かに助けを求めることもできずにひたすらあの傷だらけの女から目が覚めるまで逃げ続ける、そんな夢なのでした。

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コメント(2)
  • ぬいぐるみ、人形は貰ってはいけませんね。

    2023/11/05/02:46
  • 怖かったです(@_@)
    呪いですかね??

    2023/11/05/21:35

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