藤っ子
投稿者:白と黒の旅人 (33)
藤を知っているだろうか。マメ科のつる植物で藤棚とかで見た人も多いかもしれない。
今回は藤にまつわる、私の一族の氏神様の話。
今回出てくる「氏神様」とは父方の家計の氏神様です。
そしてその氏神様、つまり私とても古いご先祖さまの誕生日(旧暦基準らしいのでちょっとズレが生じるらしいが)に12〜16歳頃の子どもたちが「おかげさまで元気に育ちました」と報告と挨拶をするための日らしい。この12〜16歳の期間に最低1回は参加し、何度でも参加してOK。そんな感じ。
みなさんも曾祖母、曾祖父などのかなり歳上の親戚の誕生日のお祝いに行ったら従兄弟達も勢揃いしてたりしませんか?
藤っ子で集まる親戚はそれのスケールが大きいバージョンです。
そして何故「藤っ子」と言うと、「12〜16歳の子どもは藤色の着物を着る」から。
過去に「なんで藤色の着物なの?」と聞いてみたら大叔母さんが「ご先祖さまはね、生前お庭に藤を植えてらっしゃったの。」と教えてくれた。
実際、今は親戚の人が管理しているご先祖さまの生家とされる家の庭には手入れされたヤエフジがあった。
なお、これは後に植え直されたものらしく、元々生えていたのは自然の種なのか、それとも植えられた種なのか、そもそもどの種類の藤なのかもわかっていない。ただ、「藤があった」という事実だけが残っている。
ちなみに藤っ子と行っているが正確には「藤の子」ないし「藤の娘」である。そして、藤というのは昔から愛されてきた花であること、今の価値観で見ても藤の花言葉「歓迎」などのいい意味があるので廃れずに続いてきた風習なのだ。
もっとも、今では「藤色の物を身につける」「藤の服を着る」とかで結構緩くなってたりするのだがそれでも大体は「藤色の着物」を着てくる。
女の子は結構しっかりした着物なのだが男子は袴とかと言うより甚平。動きやすいので走り回る子も沢山いる。私は祖母が「お父さんのまだ残ってるから仕立て直して使いましょ」と私の父が使った袴を仕立て直した物を使っていたのでなんか紫色の塗料を被った剣道部みたいな見た目になっていた。
そして、親戚が集まりきってご先祖さまにご挨拶する時、藤色の服きた子どもたちが大人の前に座らされる。とは言っても12ぐらいの子は足の痺れからソワソワしてたりするのだが。
一通りの挨拶が終わると次は大人たちがテーブルとかを組み立て出して宴会みたいなのが始まる。みんなでヤエフジを見ながらご飯を食べた。
途中、小さい子が藤を素手で触ってしまいちょっとした騒ぎにはなった(藤の雌しべには毒があるため素手で触るのは控えた方がいいです。贈り物にする時も伝えておきましょう)。
こうして思い出す分には縁起のいい藤色の服を着て子どもの健やかな成長を願う行事のようにも思える。
しかし、後々この風習が気になった私は色々と「藤」とご先祖さまについて調べてみた。とは言ってもそんな大それた調査ではなく、話を聞いてみたり藤について調べた程度。
まず藤だが「不死」を連想することから縁起のいいものとされているが反面病人には「不治の病」を連想するため控えた方がいいとも。
そして花言葉「歓迎」の他にも花の色で色々あり、「恋に酔う」の他「決して離れない」などの割と恋愛を連想する意味もある。無論、昔そういう意味で使われた、ないし好まれたかどうかは不明だが。調べたところ恋の歌かな?という思う和歌は見つかった。
また、藤色の袴などに関しても調べたら神職の人でも履いている人がいるのだとか。調べると二級ないし一級とされる中堅以上の人達らしい。家紋的なものに藤があしらわれていたり、春日大社と関係があるなど藤は存外、神道と関わり深いのだろう。
「毒」はこれはまぁマメ科なので持っているのだが実際犬とかには危険。若い芽は食べれるらしいのでもしかしたらご先祖さま、これを食べていたのかも。
また、藤は繊維を利用して布にしていたとも。
後は京都とかに藤の草木染めとかあるらしい。
最後に、ご先祖さまから何代か後の話になるのだが藤の花を沢山植えていた時期もあったらしい。
もしかしたら私の先祖は大元は染物や藤布を作る家系だったかもしれないし、何かの商売で一山当てて、縁起物として藤を担いだのかもしれない。その証拠に、室町以降に藤を名前に入れた子どもが増えたのだとか。
何はともあれ、藤の花を見るとどこか先祖の氏神様に護られているような気もする。しかし、ここまで藤へのこだわりのようなものがあるとあまりに藤1色すぎて怖さも少し感じた。
こんぶ豆とかよく買ってます。
フジッコのお豆さんを連想しました。
おまめさん!
私もたまにお豆さんで思い出すんですよねぇBy投稿者
そんな風習があると初めて知りました。
私の地元では、藤の花は縁起が悪い事から家の庭には植えてはいけないとされていました。
↑恐らくそれも「不治の病」を連想するからでしょう。実際、藤自身が中毒を起こしうる毒を持ちますから。
ただ、私のとこではあくまで「歓迎」の花言葉になぞらえて未だに残されてます
↑どちらにせよ、藤の花ほ綺麗ですよね。