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妖怪・風習・伝奇

kanaさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

【四つ葉のクローバー事件】-女子高生 朽屋瑠子-
長編 2023/05/03 21:44 16,901view
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K女学園高等部1年、神永 澪(かみなが みお)は、学校に通じる教会に一人忍び込み、
神にお祈りするフリをして、悪魔を呼び出す儀式を行っていた。

彼女はまだ幼い頃に、ひょんなことから悪魔と出会っていた。
幼稚園の遠足の時に、草原をはだしで歩き、割れたガラス瓶を踏んだことで出血。
そこで四つ葉のクローバーとして封印されていた1匹の悪魔にその血を与えてしまい、
図らずも現世に開放してしまったのだ。

悪魔はそのお礼として、神永 澪に【誰か一人を殺す】権利を与えた。

(お嬢ちゃんがこれから生きていく中で、コイツを殺したい!なんていう憎いやつが出てきたら、ボクのことを思い出して念じるんだ。そうしたらボクが代わりにそいつを殺してあげるよ・・・そうそう、殺せるのは1回だけだからね、この権利は大事に使うんだよ)

神永 澪は今、その権利を行使しようとしていた。
(クローバーの悪魔さん、私の願いをお聞きください。麻生 数馬を殺してください・・・)

そう念じていた時、澪の前に悪魔が現れた。それは小さな四つ葉のクローバーの姿をしていた。実はこの姿は悪魔の本当の姿ではない。悪魔が神永 澪と会話をするときに見せる仮の姿、つまりインターフェイスであった。

クローバーの悪魔が語りだした。
「いや~随分我慢したね。人を殺す権利を与えてから10年くらいたってるよ。普通の人間なら1週間とたたずに行使するんだけど、お嬢ちゃんは我慢強いね」

「クローバーさん、私のお願い聞いてくれるの? 数馬クンを殺してくれる?」

「いや・・・お嬢ちゃんの願いだから聞いてあげたいけど、今回はダメだね」

「え?・・・ダメ?」

「ボクはなんでもお見通しだよ。最初に言ったはず。殺したいほど憎いやつが現れたら、ボクが代わりに殺してあげるって。つまり、殺すためには君自身が怨念に駆られている必要があるんだよ。でも、君には怨念が無い。・・・つまりキミ、その数馬って子のこと、実は好きなんでしょ?」

「・・・そ、そんな・・・」

「それにその数馬クン、死神使いでしょ。隠してもダメだよ。この間電話で話してたよね」

「そ、それは・・・」

「尚更無理だよ。悪魔と死神を戦わせ合うのかい?それは勘弁してほしいなぁ。ボクには死神を殺す力は無いし、死神も悪魔の魂をもっていくことはできないだろうからね。戦えばお互いの術者を殺しあうことになって、どっちも死ぬよ。ボクはお嬢ちゃんの大事な体・・・いや、大事なお嬢ちゃんを失いたくないなぁ」

「そう・・・」

「じゃ、今回の話はキャンセルってことで。ボクは帰らせてもらうよ。なんせここは居心地が悪い。次、呼び出すときは教会の中じゃない方がいいな。よろしくね」

そう言うと四つ葉のクローバーの悪魔は消えていった。

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コメント(9)
  • kamaです。
    朽屋瑠子シリーズも今作で6作目です。過去作品も読まれますと世界観が広がってより楽しめると思います。
    また、今回のお話は以前投稿いたしました「四つ葉のクローバー」と「さようなら」そして「さようなら~その後~」というお話の解決編ともいえる内容となっていますので、合わせて読まれると楽しさも倍増かと思います。よろしくお願いします。

    2023/05/03/21:50
  • kamaです。
    これはあくまでも個人的になのですが、今回これを書くときに・・・
    朽屋瑠子=アンジュ・カトリーナ
    貴澄頼子=リゼ・ヘルエスタ
    神永澪=山黒音玄
    四つ葉のクローバーの悪魔=ピーナッツくん
    の声を当てながら書いていました。みなさんなら、どんな声をあてますか?

    2023/05/03/21:56
  • 思わぬ展開で数馬君に憑いていた死神が違っていたなんて@_@このシリーズが実写版になったら観たい!瑠子シリーズのファンです。

    2023/05/03/22:33
  • ↑kamaです。さっそくありがとうございます。13ページもある長編読んでくれてありがたいです。
    そうですね~実写化とかあったらおもしろそうですね。漫画化やアニメでもいいですね。
    どなたか奇特な同人作家の方がいたら、いかがですか?

    2023/05/03/23:24
  • kamaです。いくつかの誤字脱字、てにおはの修正をして、少し読みやすくいたしました。
    よろしくお願いします。

    2023/05/04/07:27
  • Kama先生、久しぶりの新作ありがとうございます。以前から思っていたのですが本当はプロの作家でしょうか?

    2023/05/05/01:58
  • ↑kamaです。楽しんでいただいてありがとうございます。ボクの素性は内緒にしておきます。読者の夢を壊さないのが作家たるもの・・・(てことは身バレしたら夢を壊す人なんだな)辞めておこう。

    2023/05/05/08:58
  • kamaです。
    実はこの裏で暗躍している組織について「名前はないの?」という質問をいただいています。
    ここでは封魔部隊といったり、単に組織といったり、あるいは朽屋が「お掃除部隊」と呼ぶこともありますが、設定上は名前はあります。
    ただ、この組織は平安時代から陰陽師の集まりで構成された部隊であり、禁裏を魔物から守るのが主任務ということで、名前を名乗るといろいろ各方面に問題がありそうなので、物語上、名乗るのを自重しております。

    2023/05/07/11:58
  • 「イギリス・チャーチル国王の載冠式に黒ずくめの死神が映る」
    なんてニュースが流れてきました。
    ・・・まさかねぇ・・・。

    2023/05/07/17:11

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