【四つ葉のクローバー事件】-女子高生 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
一気に体の力が抜け、床にへたり込む澪。
教会の扉が突然開き、血相を変えて三人が駆け寄って来るのが見えた。
ひとりはこの教会の神父。ルーカ神父というイタリア人の神父だ。
その後ろにいるのは3年の朽屋 瑠子先輩と貴澄 頼子先輩だ。
朽屋先輩は運動神経抜群でいろいろな部活の助っ人をしているちょっとした有名人。
1・2年生からも大人気の先輩だ。貴澄先輩はよくは知らないけれど、いつも朽屋先輩のそばにいる清楚なお嬢様的な先輩で、そのせいで裏では(クチ・キスコンビ)とも言われている。
きっと共学だったら男子からモテモテだったに違いない。
「あぁ、私、神父様に怒られるのかな・・・?」
そう思っているとなんだか周りがどんどん暗くなり、耳がキーーーンと鳴って、体が熱くなってきた。
・・・・・・
ルーカ神父は、気を失った神永 澪を、抱きかかえて執務室へ運んだ。
そのままソファに寝かせ、毛布代わりにガウンをかけた。
おそらく貧血だろう。クッションを足元に敷き、血流を頭の方に流すようにした。
「教会内から魔物の波動を感じて来てみたら、この子がいた。いったい何があった?」
ルーカ神父がいぶかしがる。
生徒手帳を抜き取ってみる朽屋。
「彼女、神永澪さんです。1年生ですね」
頼子は彼女の身体から異様な波動を感じていた。
「神父様、この子・・・体内が侵食されているかも・・・」
「そうか、魔物が体内に入り込んでいるのか」
神父はそう言うと自身の透視能力を使用して神永澪の身体をスキャンしてみた。
神父にはクレヤボヤンスという遠隔透視能力があるのだが、それを応用することでいろいろな透視に使うこともできる。
神父の瞼に映ったものは、まるで植物の根のように彼女の体内を這う魔物の姿だった。
「こいつは特殊な吸血鬼の一種だろう。彼女の体内に巣食い、彼女の血を吸って生きている。昨日今日住み着いたわけではなさそうだ。かなり長い間・・・おそらくこの子が幼少の頃に巣食ったのだろう」
「今、私たちが追っている死神による事件とは別物ということですか?」
朽屋が問う。
「そうだ。コイツはとりあえずこの子から生命の源を吸い取って成長している」
kamaです。
朽屋瑠子シリーズも今作で6作目です。過去作品も読まれますと世界観が広がってより楽しめると思います。
また、今回のお話は以前投稿いたしました「四つ葉のクローバー」と「さようなら」そして「さようなら~その後~」というお話の解決編ともいえる内容となっていますので、合わせて読まれると楽しさも倍増かと思います。よろしくお願いします。
kamaです。
これはあくまでも個人的になのですが、今回これを書くときに・・・
朽屋瑠子=アンジュ・カトリーナ
貴澄頼子=リゼ・ヘルエスタ
神永澪=山黒音玄
四つ葉のクローバーの悪魔=ピーナッツくん
の声を当てながら書いていました。みなさんなら、どんな声をあてますか?
思わぬ展開で数馬君に憑いていた死神が違っていたなんて@_@このシリーズが実写版になったら観たい!瑠子シリーズのファンです。
↑kamaです。さっそくありがとうございます。13ページもある長編読んでくれてありがたいです。
そうですね~実写化とかあったらおもしろそうですね。漫画化やアニメでもいいですね。
どなたか奇特な同人作家の方がいたら、いかがですか?
kamaです。いくつかの誤字脱字、てにおはの修正をして、少し読みやすくいたしました。
よろしくお願いします。
Kama先生、久しぶりの新作ありがとうございます。以前から思っていたのですが本当はプロの作家でしょうか?
↑kamaです。楽しんでいただいてありがとうございます。ボクの素性は内緒にしておきます。読者の夢を壊さないのが作家たるもの・・・(てことは身バレしたら夢を壊す人なんだな)辞めておこう。
kamaです。
実はこの裏で暗躍している組織について「名前はないの?」という質問をいただいています。
ここでは封魔部隊といったり、単に組織といったり、あるいは朽屋が「お掃除部隊」と呼ぶこともありますが、設定上は名前はあります。
ただ、この組織は平安時代から陰陽師の集まりで構成された部隊であり、禁裏を魔物から守るのが主任務ということで、名前を名乗るといろいろ各方面に問題がありそうなので、物語上、名乗るのを自重しております。
「イギリス・チャーチル国王の載冠式に黒ずくめの死神が映る」
なんてニュースが流れてきました。
・・・まさかねぇ・・・。