冷蔵庫の中にいる
投稿者:だれパンダ (31)
短編
2022/01/24
21:50
1,093view
高校時代、友人たちと肝試しに行きました。場所は地元で有名な心霊スポットです。
「冷蔵庫の中に女の死体が詰められてたんだって」
「怖~」
などと他愛ないお喋りをしながら進むううち、ぞくりと悪寒が駆け抜けました。
「ねえ……寒くない?」
季節は8月、吐く息が白く染まるなどありえないのにさっきから震えが止まりません。
しかし友人たちは鈍感で、私の意見をまるで取り合ってくれませんでした。
仕方なく冷蔵庫が廃棄されていたらしい部屋まで来ると、寒気は耐えられないほどになってきました。
さっさと帰ろうと催促しかけ、睫毛に霜が下りているのにびっくりしました。
「被害者の死体は凍らされてたんだって」
「どのみち廃墟に捨てたら腐っちゃうのに。犯人頭悪いね~」
恐怖で頭がおかしくなりかけた私は、お喋り中の友人たちをほったらかして全速力で逃げ出しました。
踵を返す間際、冷蔵庫の扉が開く音がしたのは気のせいでしょうか?
もちろん廃墟に冷蔵庫など存在しなかったのですが……大人になった現在、私の夢にはたびたび廃墟と冷蔵庫が現れます。
冷蔵庫の中では何かが暴れ狂い、今にも出てこようと扉を叩きまくっています。
朝起きると全身にかいた寝汗が冷えきり、冷蔵庫から出したお肉が溶けたみたいです。
夢の扉が開いた時、私はどうなってしまうのでしょうか?
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 7票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。