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だれパンダさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

会ってはいけない「もう一人の自分」
短編 2022/06/18 21:36 1,121view

これは私が中学3年生の時のお話です。

当時私の担任の先生は、「紅の豚」というあだ名を持つ、生徒に人気の先生でした。

3年生であれば進路で大変な時期でしたが、前向きな先生の意見に何度も救われたことを覚えています。

ですがその先生には「謎」な部分もあり、稀にではあるのですが、学校外でも目撃情報がちらほらとあったのです。

そして生徒が「先生、昨日~にいた?」などと聞くと、いつも「それは俺じゃねぇな」と返すのです。

もちろんふざけてるんだな、としか思いようもなく、皆の進路も落ち着いた頃、、、先生はHRである話をしてくださいました。

それは、、自分の他に、もう一人の自分が近くに居る。ということでした。

そしてそのもう一人の先生が、「家庭訪問」の時期になると動き出すというのです。

聞いた瞬間、ピンとくる生徒は何人か居ました。先生は家庭訪問が始まる際、深刻な表情で、、

「ちゃんと俺が、行くまで誰も通すなよ、時間厳守で回るから、保護者の方にも伝えておくように」と何回も言っていたのです。

先生は宣言通り、全て時間厳守でした。もし、少しでも時間がズレると、もう一人の自分に先を越されてしまうのだそうです。

先生は過去に2度、先を越されたことがあり、まだ訪問していない先へ行くと、「先生、忘れものですか?」と言われたり、

「先生、今帰られたばかりじゃないですか」と言われたり、もう一人の先生が飲み切ったであろう、空いたグラスまで見せてもらったのだそうです。

そしてそのもう一人の先生は、その生徒の進路などもちゃんと知っていて、何事もなく、家庭訪問を終えていたのです。

その他にも、先生が家庭訪問中に、近場で先生の目撃情報があったりもするそうで、何より私自身、先生の車が近くに止まって居るのを見かけているのです。

それは私の家庭訪問が終わった後、次の家まで先生と歩いて行きました。先生は歩きでしたし、何よりそこに居るはずがありませんでした。

先生の車は赤の珍しい車種で、見かけることは滅多にありません。なのにあの日、あそこに、止まって居たのです。まるでどこかに訪問するためかのように。

先生は怖がらせないように、今まで私達には内緒にしていましたが、最後の最後に、ある写真を見せてくださいました。

それは、もう一人の先生が、先生のすぐ近くに居たであろう時にたまたま撮った生徒達との写真でした。

正直、見た瞬間、、、ただただ怖かったです。

見たら分かる、としか言いようがないのですが、そこに写る先生の姿が、透けて後ろが見えていたのです。

どこか一か所でもなく、前列に座るその姿全体が、「まるでその存在が消えてしまうかのように」、、確かにいつもの先生の笑顔なのに、、です。

あの日、先生はHRの最後に、「会っちゃいけない、でもあいつは俺の行動を把握して動いてる」「次先を越されたら分からない」などと本人は笑いながら言っていました。

今現在、先生がどうしていらっしゃるかは分かりません。その後一度だけ、先生の赤い車を見ましたが、その姿を探すことは出来ませんでした。

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コメント(1)
  • こええ…

    2022/06/19/09:27

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