奥墓のある小山でのハイキングにて
投稿者:K-Style (7)
私が大学生の時の話です。高校時代から仲の良い女友達3人で、地元にある小高い山にハイキングに行くことになりました。
その山は名前だけはそれなりに有名で道路案内にも出ているくらいなのですが、ハイキングスポットとしてはあまり人気が無い場所でした。
というのも、そのスポットの名前は「〇〇奥墓」といい、地元で名士と言われた昔の偉人のお墓だったのです。
なぜ私達が他の綺麗に整備されたハイキングスポットではなく、この奥墓のある小山を登ろうと思ったのか覚えていませんが、私達が登った時も他に登山客はおらず、誰にもすれ違わずに荒れた登山道を登って行きました。
それでも、女子大生3人集まれば怖いという気はなく、キャッキャっはしゃいで写真を撮りながら、楽しく頂上まで登りました。
頂上からの景色は、思っていたより寂しいものでした。手入れされていないせいで下から伸び放題に伸びた樹木に視界を邪魔され、景色もあまり見えません。頂上のきちんと整備され祀られた所にあるとばかり思っていた偉人のお墓は、意外なことに頂上から少し下った藪の中にひっそりと佇んでいました。これではせっかく山の上に眠っていても、景色が何も見えなくて可哀想だな、と思ったのを覚えています。
頂上の荒廃した様子、誰もいない登山道。少し寂しい気持ちになり、下りはさすがの私達も言葉少なく、もうここに来ることはないだろうな、という思いでハイキングを終えました。
友人達と解散し、帰路に着いた後、一緒に登山した友達から「今日撮った写真、どれも変なものが写ってるの」と涙声で電話がかかってきました。その後、携帯に送られてきた写真を恐る恐る見ると…
写真の樹木に、無数の顔が写っているのです。それも一本だけではありません。写真に写っている樹木という樹木に、みっしりとたくさんの顔があるのです。笑った顔、怒った顔、悲しそうな顔…。見た瞬間、恐怖で気を失うかと思いました。
それ以来、その山には一切近付いていません。
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