スポーツジムで女性の腰にしがみつくモノ

私の通う24時間スポーツジムで、実際に体験した話です。

そのスポーツジムは都内にあり、会員は24時間利用が出来ます。繁華街に近いこともあり、深夜でもいつも多くの人がジムを利用しています。
私も、居酒屋のバイト終わりに汗を流すため利用する深夜組でした。

その日は夕方からずっと小雨の降り続く、肌寒い日でした。そのせいでしょうか、いつもは深夜でも活気のあるジムですが、この日私が深夜1時頃行った時には、3人が利用しているだけでした。

空いていた方が器具を自由に使えるので、ラッキーとばかりに私は普段人気でなかなか使えないマシーンでトレーニングをし、気づいた時には1時間ほど経過していました。

先客で来ていた3人のうち、よく顔を合わせる1人の男性は私がトレーニングしている間に帰っていきました。残りは、見た事のない男女のペアだけです。新しい利用者も訪れません。

私は休憩しようとマッサージチェアに座り、水を飲みながら、見るとは無しに目に入ってくるそのカップルをぼんやり眺めていました。2人は並んでランニングマシーンを使い、ゆっくりしたスピードで走りながら会話をしています。年齢は20代から30代くらいでしょうか。すると、ある変な物に気づいたのです。

女性の腰のあたりに、何か拳大くらいのものがくっついているのです。
最初はウエストポーチのようなものだと思っていましたが、よく見ると、もっとテラテラとしていて粘性があり、グロテスクなものに見えました。

まるで大きなナメクジみたいなものが走る女性の腰に一生懸命しがみついているようでした。

2人はその存在を気にしている様子でもないので、もしかしたら見えてなかったのかもしれません。
私は気味悪い気持ちよりも好奇心の方が勝ってしまって、何がくっついているのかもっと近くで見ようと、彼らのすぐ後ろを通りました。

女性に近づくにつれ、そのネトネトした物体がどんどんハッキリと見えてきます。
女性の最も近く、真後ろまで来た時、その物体をハッキリ見てしまいました。

それは、胎児でした。
まだ体が透けている状態の、でも形は人間で、その胎児がしっかりと女性の腰を手でつかんでいるのです。

軽いパニックになった私は立ち止まって確認する事も出来ず、2人の後ろを通過し、そのままバクバクと音を立てる心臓のままジムを後にしました。

今思い出しても、あれは胎児で間違いないと思います。