その日のうちに、
僕は家を出た。
⸻⸻
後日、
家は解体された。
土地も売却した。
あの箱に入っていた衣類や靴については、
結局、誰のものなのか分からなかった。
母のテープも、
それ以上の内容はなかった。
親戚に聞いても、
「あれ以上は知らない」
と言うだけだった。
ただ、
一つだけ気になることがある。
家を解体している業者から、
最後に連絡があった。
「押し入れの裏から、古い壁が出てきたんですが」
「壁?」
「ええ。二重になってました」
僕は、
「何かありましたか?」
と聞いた。
電話の向こうで、
少し間があった。
「いや……」
そう答えたあと、
業者は続けた。
「壁の内側に、小さな文字が彫ってありました」
「何て?」
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