いつ電話したかも思い出せない。
父はその日の夜に亡くなった。
ただ触れていることしかできなかった。
六十三歳だった。
葬儀は静かに終わった。
親族が帰り、家には母と私の二人だけが残った。
父の部屋を整理していた時だった。
机の上に古いスマートフォンが置いてあった。
電源を入れる。
待ち受けは家族写真。
何年も前に撮ったものだった。
私は何となくメッセージ画面を開いた。
そこで手が止まる。
父とのトーク履歴だった。
右側は父の言葉。
左側にはほとんど何もない。
父
「元気か」
既読
父
「仕事は忙しいか」
既読
父
「誕生日おめでとう」
既読
父
「体だけは大事にな」
既読
父
「今年は帰ってくるか」
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