こんな雨の夜に、道路を馬が走っているはずがない。
恐る恐るミラーを見る。
いた。
さっきの騎手が、馬に跨っている。
車のすぐ後ろを走っている。
僕は信号が青になった瞬間、アクセルを踏み込んだ。
馬は追ってくる。
時速50キロ。
60キロ。
70キロ。
それでも離れない。
雨の中を、騎手は首を傾けたまま、無言で追ってくる。
そして、交差点を曲がるたびに距離が縮まっていく。
僕は必死で自宅まで帰った。
車庫に車を入れ、玄関まで走る。
鍵を閉める。
チェーンも掛ける。
カーテンを閉める。
「家まで来るわけがない」
そう言い聞かせて、その日は無理やり寝た。
夢を見た。
雨が降っている。
競馬場だった。
僕はスタンドに一人で座っている。
誰もいない。
照明も消えている。
ただ、馬場だけが真っ暗な雨の中に浮かんでいる。
すると、
パカッ……パカッ……
馬の音がする。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 0票
























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。