ガン。
—
玄関が鳴った。
私は飛び上がった。
ガン。
ガン。
ガン。
叩いている。
ノックではない。
殴っている。
そして声がした。
女の声だった。
「開けて」
ガン。
「開けて」
ガン。
「寒い」
ガン。
「入れて」
—
祖父の言葉が頭をよぎった。
絶対に家へ入れるな。
—
私は返事をしなかった。
十分ほど続いた。
やがて音は止んだ。
そして。
鈴の音が遠ざかっていった。
チリン。
チリン。
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