チリン。
—
翌朝。
玄関を見ると傷だらけだった。
木が深くえぐれている。
人間の拳では無理だ。
爪の跡のようにも見えた。
—
その日から村人たちの態度がおかしくなった。
私を見ると目を逸らす。
何かを言いかけてやめる。
まるで秘密を共有しているようだった。
—
一週間後。
ついに一人の老人が話してくれた。
「昔な」
老人は煙草に火をつけた。
「この村には七軒しか家がなかった」
「そんなに少なかったんですか」
「ああ」
「それで?」
老人は遠くの山を見た。
「山の向こうにもう一つ村があった」
—
だがその村は消えた。
—
百年以上前。
ある冬。
村人全員がいなくなった。
一夜で。
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