コンビニの中の映像だ。
誰かが背後から撮影している。
だが振り返っても誰もいない。
映像の中では、春香のすぐ後ろに黒い人影が立っている。
現実には見えない。
映像にしか映らない。
客たちも同じものを見ていた。
誰も声を出せない。
2時17分。
映像の黒い影が、ゆっくり春香の耳元に顔を寄せた。
そして囁いた。
> 「やっと見つけた」
その瞬間、店の照明が落ちた。
ほんの一秒。
再点灯したとき。
春香はいなくなっていた。
防犯カメラにも映っていない。
失踪として処理された。
警察も原因は分からなかった。
――ここまではよくある怪談だ。
本当に怖いのは、その後だった。
祖母の家を解体した業者が、床下から大量のノートを見つけた。
全部同じ黒い表紙。
中身も同じ。
ただし、一冊だけ違う。
最後のページに書かれていた名前が。
その名前は春香ではなかった。
そのノートには、これを読んでいる人の名前が書かれていたという。
そして日付の欄だけは、読むたびに変わる。
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