一時の緊張から解放された私は、再びノリ君を茶化した。
「本当だ、見間違いかな。」
口元にかざした手を放すと、少し安堵した表情のノリ君の顔が見えた。
しかし、その顔が再び強張る。
「ちょ、カメラの前になんかいないか?画面の下の所。」
そう言われて、テレビの下側の縁を注視してみた。
確かに、何か黒い影のような、そんな物が映っている気がする。
映像は寝室の方へと向かって進み始めた。
黒い影のような物も一緒に進んでいった。
いや、影の方が先へと進んでいく。
わかった。髪の毛だ。
影のように見えていたのは髪の毛。人の頭がカメラの前にある。
ケンさんの前を誰かはわからないが、人が歩いている。
その人はカメラを置き去りにして、寝室の布団の方へ進んでいった。
足は動いていない。正体不明の人物は畳の上を滑るように進んでいく。
映像には異様としか言えない光景が映し出されている。
「うわあああ!誰これ!」
「ケンさん、一人だよな!?なんだよ、こいつ!?」
布団の上まで行くと、まるでターンテーブルに乗っているかのように、直立不動のまま、カメラに体を向きなおした。
子供だった。表情はよくわからない。顔が滲んでいる。
薄い水色のパジャマを身に着け、肌はそれと同じくらいに青白い。
とても生きた人間には見えなかった。
ケンさんはその子供に気が付いていないのか、なおも寝室に向かって歩いている。
子供がカメラの目の前にまで迫ってきた。
「やばいって、やばい…」
ノリ君は画面から目を逸らし、直視出来なくなっていた。
「おい、子供が動いたぞ。」
直前に迫ったところで、その子供はカメラに背を向け、カメラに合わせて前を移動し始めた。
子供は寝室と隣の部屋を仕切るガラス戸をすり抜けていった。
ケンさんがガラス戸を開けると、玄関の先に見えた台所へと出た。
子供はカメラを向いて立っている。
そこからトイレ、風呂場と撮影していくのだが、青白い子供は常にカメラの前を滑るように移動している。
























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