左遷先の仕事場は、毎日が憂鬱だった。
歳下の上司に怒鳴られ、終わらない残業。
帰っても、水しか入っていない冷蔵庫と、三時間の睡眠が待っているだけだった。
今日も仕事を終えたはずなのに、気の重さは消えなかった。
歩く足取りはふらつき、悪酔いしているようだった。
ふと、視界の端に大きな塚と一本の木が浮かび上がった。
職場の近くに首塚がある。
昔は処刑場だった……そんな噂を思い出す。
暗闇の中なのに、そこだけがぼんやりと明るく見えた。
甲高い笑い声が聞こえた。
子供たちだ。こんな夜中に。
着物の子もいれば、古びた洋服の子もいる。
どの時代の子供なのか、判然としなかった。
彼らは駆け回り、木に登り、楽しそうに笑っていた。
微笑ましい光景のはずなのに、胸が痛んだ。
落ち込むばかりの自分と、あまりに対照的だったからだ。
木の先端にはロープが吊るされていた。
輪になった先端が、首を通す形になっている。
そこへ、小さな女の子が枝を伝って近づいていく。
女の子はロープに手を添え、こちらを見た。
にこっと笑って、言った。
「これから、処刑されたママのモノマネしまーす!」
子供たちが一斉に拍手した。
声を出そうとしたが、体が動かなかった。
女の子はそのまま落ち、ロープに首を通した。
手足はだらりと垂れ、長い髪が顔を覆った。
息を呑んだ瞬間、女の子は顔を上げてケラケラ笑った。
他の子供たちも笑っている。
「次、オレがやる!」
「僕も!」
「あたしも!」
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