俺はまだ経験がないだけで、本気を出したら女心だってわかるし、デートだって完璧にエスコートする自信がある。そう考えていた。
でも、蓋を開けてみたら、超無能。
女を喜ばすことができない男なんてダセーとか思ってたけど、まさに俺がそのダセー奴だった。知りたくなかったけど、知ってしまった。自分がこんなにも駄目な奴だったってことを。
打ちひしがれながら、家路につく。
川沿いを歩きながら、沈んでいく夕日に照らされ、本当だったら今頃もっと愉快な気持ちでここを歩いていたんだろうなと思うと、ちょっと泣きそうになってしまう。
足取り重く、のたのたとゆっくりしか進めない俺の後ろから「……杉崎?」と声を掛けたのは遊佐だった。
「……………………おう」
「おうって……顔、死んでるけど」
遊佐は犬の散歩中だったみたいで、小型犬が遊佐の足元で欠伸をしている。
「なんか、あったの?」
「…………俺もう、駄目かも」
駄目かもっていうか駄目な自分に気づいてしまっただけなんだけど。
「……ちょっと、話そっか」
遊佐は土手を指差し、俺は言われるがままに草むらに座る。
ああ、ここでも俺は誰かの指示で動くしかできないのか。
「落ち込んでるのは見ればわかるけど、ほんと、顔、ヤバイよ」
「そりゃヤバくもなるよ……」
俺は今日の出来事を掻い摘んで話す。
元々、俺と先輩の仲を取り持ってくれた遊佐には報告するつもりだったけれど、予定ではもっと明るく、俺と先輩の輝かしい将来を語るはずだったのに……。
「まあ、だいたいわかったけど……でもしょうがないでしょ、それは」
「しょうがないって言ってもさぁ」
「だって初めてのデートだったんでしょ? みんなそうやって経験しながら、どんどんエスコートが上手くなったりするもんなんじゃないの?」
初めからできる人なんてそうそういないよ! と励ましてくれる遊佐。
あれだけ卑下していたのに、こうやって俺を認めてくれる人がいるってだけで、また泣きそうになってしまう。
「そうなんだけどさぁ。でもちょっと思ったんだよ、俺」
「なにを?」
「いや、俺といてさ、先輩にとってはどうなのかなって」
「? ちょっとよくわかんないけど。先輩――陽葵ちゃんが杉崎のことどう思ってるかってこと?」
「や、違くて、俺といることによって先輩の評価が下がるとかさ、先輩に迷惑かかるんじゃないかなって」
あんな不細工な奴と付き合うなんて、みたいなことを言われるんじゃないかとか、そんなことをずっと考えてた。平凡な容姿とスペックの俺が、超が何個も付くほど容姿端麗で勉強だってできるらしい先輩と釣り合うわけがなくて、良識を疑われるというか、人を見る目がないんだなとか思われそうで、なんか申し訳がないというか。

























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