扉を少し開けて、耳だけ出して家の中の音を聞いてみる。
まるで何の音もしない。シーンと静まり返っている。
片目だけ出して廊下をジロジロ見てみるが、動くものはなにもなかった。
「し・・・仕方ない・・・」
1階に行ってみることにした。下へ降りるのはたぶん一か月ぶりだ。
ギイ、ギィ、ギィと階段をキシませ、警戒しながらゆっくりと降りる。
中間地点でいったん腰を下ろして、聞き耳を立てる。
やはり物音ひとつしない。
トイレや風呂の可能性も考えてじっと聞き耳を立てるが、何の音もしない。
もしかして、停電を直すために外に出たのかな。・・・そう思った。
またゆっくり階段を下りる。
一か月ぶりにたどりついた1階のフロアに、左足から下りた。
何かあったらすぐに右足に力を入れて階段に上がれるようにだ。
何事もなく着地して、最初の一歩を踏み出す。
人類にとっては小さな一歩かもしれんが、ワイにとっては大きな一歩である。
そこからまず居間へ行き、誰もいないことを確認してからキッチンへ向かった。
無人のキッチン。なにか食べるものはないかと見てみたが、
とくに作り置かれた料理もなく、炊飯ジャーにはご飯もない。
冷蔵庫を開けてみると、ひんやりした空気が流れてこない。
常温だ。停電のせいか。
ふと、冷凍室も開けてみた。氷が解け始めている。
ここでアイスを発見した。やわらかく崩れ始めているがまだいける。
今日、初めての食事。・・・が、それで終わり。
そうだ、カップラーメンがあるんじゃないか?
ガスに火をつけて、お湯を沸かせば・・・
だが、コンロに火はつかず、ガスも来ていないようだ。
これではお湯を沸かせない。
最悪、長時間カップラーメンを水に浸しておけば、ふやけて食えるようになる。
そう思ったが、蛇口からはその水も出てこなかった。
電気もガスも、水道も全部止まっとるやんけ・・・。

























Mameです。
今回の作品は狭い世界で生きる主人公に、突如として夢のような広い世界が与えられるとどうなるか、
その落差が楽しい作品となりました。
そしてラストは実験的なマルチエンディングとしました。
希望と絶望、そのどちらも楽しめます。
絶望を味わいたくない人は途中で見るのやめてください。
よかったら、あなたがどちらのエンドを選択したか、書き込んでくれると嬉しいです。