アパートの裏で
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
長編
2021/04/06
02:37
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タクシーが走り始めて10分ほどした頃だ。
タン タッタタラタタタタタン
タン タッタタラタタタタタン
Cからの電話だ。出てみると
「今日は楽しかったよ。ところでさ、俺がいなかった間に何も無かったか?」
と聞いてきたから
「何にも無いよ。心配性だなあ。」
「それならよかった。気を付けて帰れよ。」
さっきと同じような会話をしていたから、かなり酔っているんだとしか思わなかった。
さらに20分ほどして自宅の前に着いた。
キッチンの窓には明かりがついていて、母は俺の到着を待ってくれていたようだ。
タクシーを降りて玄関まで歩いて何気なく振り返ると、運転手はドアを開けて車の周りを何か探しているようだった。
今どきは換気が大事だし、客の忘れ物が無いか確認をしているだけだろう。
俺は少し酔っているせいか、深く考えずに玄関を開けた。
「ただいま~。」
玄関を開けてリビングに行くと、キッチンから出てきた母が
「あれ?窓から見えたけど、お友達も一緒じゃなかったの?2~3人いなかった?」
「何言ってんの?俺一人だよ。」
と答えた瞬間、
タン タッタタラタタタタタン
タン タッタタラタタタタタン
電話に出るとCが聞いてきた。
「ところでさ、本当に何も無かったか?」
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アパートの裏が墓地だったら、住むのは無理かも。