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呪い・祟り

期待の新人さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ふ
長編 2025/12/03 23:05 599view

A「今日は楽しかったね」

私「ね。…ごめんね、こんなとこまで来させちゃって。」

A「いいよ、いっぱい話せたじゃん!また今度。」

…私はこのとき、ある違和感を覚えた。

私「また今度…?」

A「なんで疑問形なのwまた今度会おうね!」

話すほど、その違和感が確証に変わった。Aの笑い方が、変わっている。アッハッハと豪快に笑う彼女が、今は「ふふふふふ」と上品に、だが冷たく笑っている。面白いという感情は汲み取れず、それが義務であるかのように、平坦に起伏なく機械的に笑うだけであった。その声が、夜の住宅街に低く響いた。

ふと彼女の顔を見た。彼女の目を見た。
真っ暗でわからなかったが、すこし、彼女の顔にも違和感を覚えた。その正体が分からないまま、その顔はすぐ元に戻った。

私は強引に話を続けて、彼女が笑うよう冗談を連発した。

するとまた彼女は、
「ふふふふふふ」
と、これまた恐ろしく機械的に笑った。
そしてこのチャンスを逃すまいと、彼女の顔をじっと見つめた。

暗闇の中であったが、それはハッキリとわかった。

彼女の目玉は真っ黒で、白目はなかった。そして、あの時私が感じたような、異常に鋭くて尖った目だった。

が、瞬く間に彼女の目は普段通りの愛嬌あるものに戻った。
私は体で理解した。この目は、あの手紙を拾った時の視線と同じだと。そして、これは「Aではない」と。

ーーーー

学生時代ぶりの恐怖と、まだまともに霊を信じれない気持ちが共存していた。そして部屋で、夫にこの話をしようとした。

マンションの部屋にたどり着くまでには、なんの違和感もなかった。気づけば頭痛は収まり、平静を取り戻した。

しかし、部屋のドアノブに手をかけた時、例の声が聞こえてきた気がした。

「ふふふふふ」

と。私は一瞬で後ろを振り返ったが、そこには何もいなかった。だが、まだその声はどこからか聞こえていた。

恐る恐る部屋へ入る。

そうすると、リビングで、夫がテレビを見て爆笑していた。ホッとした。夫は私の方を向いた。その顔は普段の夫であり、あの時のAの爬虫類のような顔ではなく、優しさと笑みに満ち溢れた、暖かな表情だった。

さっきの声は、きっと夫の声。でも今回は今までの体験とは違った。様々な呪縛から解放されたような安心を感じ、ソファで夫の隣に座り眠ってしまった。

ーーーー

目を覚ますと、まだ15分しか経っていなかった。
体には毛布が掛けられ、その隣で、夫が声を抑えてツボに入っているのを見た。思わず吹き出してしまい、また目が合った。

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