それからさらに時間がたって、あの不気味な出来事もその後特に何もなさおうで忘れかけてた頃。
図書館をでてすぐのところに1000円札が落ちていた。
あっ1000円だ。
と思った俺はつい手をのばそうとして、なんかやめた。
なんか嫌な感じ、この感覚を俺は知ってる。1000円を前に躊躇していると。
「おっ、1000円じゃん」
俺の後ろからやってきたAがひょいっと1000円を俺が静止するより先に拾い上げた。
「おい」
「これお前の?」
「いや違う」
俺は首をふった。
「ラッキー」
そういってAは走っていたが。
俺はまた嫌な気持ちになっていた。
図書館は飲食禁止でこの辺には自動販売機はおかれてない。
図書館の中でテーブルの近くとかなら、鞄から何かのはずみで落としたか? とかおもっただろうけれど。
金を使う自動販売機もないこんな廊下で1000円がおちてる。
ポケットに金をそのまま突っ込んだりしてるやつもいるから、そういうやつのが1枚落ちたのかもしれない。
落ちたのかもしれない。
俺はそう言い聞かせたかった。
だけどまた聞こえたんだ。
「厄を拾ってくれてありがとう」
振り返ると遠くに男がいてすぐに姿は見えなくなった。
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