俺は少し離れた樹木の周りを囲んでいるコンクリのブロックにすわって、ジュース飲みながら携帯触って様子をうかがうことにしたんだ。
しばらくすると、次の講義受けるやつポツポツと俺の前を通って行って、そのうちの一人が自動販売機で飲み物を買ったんだ。
そしてそいつはおつりがあったみたいで、釣銭に手をいれてさっていった。
自動販売機が見えるところにって座ってたけれど、距離がそれなりにあったし、そいつが釣銭口に重なるからさっきの不気味な500円を含めて全部持って行ったかどうかってことは、本来なら俺にわかるはずないのに。
なんかはっきりとその時だけは、あいつがアレを持って行ったってなんでかわかんないんだけれどはっきりとわかったんだ。
確認しに行く必要はい、アレはもうないっていう確信。
どうなってるか、自分にはさっぱりわからないんだけど。
そこにはもうあれがないみたいな確信があった。
不思議な感覚だった。
釣銭に入っていた500円を手に取らなかったことはまだわかる。
釣銭を漁るならともかく、わざわざ入れるっていう意味わかんない行動をみた後だから、トラブルになったら困るとか。
不気味すぎて無理とか、俺が500円を取らない理由はわかるんだけど。
さっきのやつが500円も間違いなくもっていったっていう確信したことがすごく怖い。
「あれ、あれ、なんで?」
初めての感覚にめっちゃ動揺してそういうことを口走ってたと思う。
他に人も通るから、そういう風にやってたらあやしいやつに見えるとかそういうの全部ぶっとんでて、戸惑いから上がる声が止まらなかった。
その時俺の後方から声がした。
「わかるやつにはよくないってわかるんだ……。アイツは俺の厄を代わりにもっていったんだよ」
どっかからそういわれた。
振り返った時遠くにさっき自動販売機の釣銭漁ってた男が走っていくのが見えた。
「おい」
聞きたいことがあって呼びかけたけれど、男の姿はすぐに見えなくなって。
結局俺は、そいつの後姿を見たけれど、顔を見てないから誰かはわからなかった。

























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