「父は私のマンションに来たんです」
「お父さんがあなたのマンションに来たんですか。
それはいつ頃なんでしょう?」
「3分時33分過ぎです」
「よく、そんな正確に憶えてられますね」
「だって私、その時、デジタル時計を見たんです」
田中さんは再び開いた手帳を目前に持ってくると一瞥し、
「いや、それはあり得ないですな。
その時間、3時33分というのは正にこの病院で正人さんの死亡確認がされた時間です」と言った。
ゾワリと背中に、冷たいものが走る。
─父が……
父が来てくれたんだ。
胸に熱いものがこみ上げ次々にポロポロと涙がこぼれてきて、私はその場にうずくまります。
「あの、、、大丈夫ですか?」
田中さんの心配げな声で私はなんとか正気を取り戻すと、ゆっくり立ち上がります。
その時でした。
一瞬室内が真っ暗になったんです。
この話は怖かったですか?
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