「ああ、、、
他の患者に対しても何度かあったようでクレームも結構あったみたいでな、最後は首になったんだろうなあ、いつの間にかいなくなっていたよ。
ただ今から考えると、あの看護師が笑ってた患者というのは日が経たないうちにあの世に旅立ったような気がする。
今はもうその看護師はここにはいないはずだから、あんたが見た看護師はまた違う人だと思うけどな」
そう言うと松浦さんはまた遠くを見るような目でタバコの煙をくゆらせ、俺はまたコーヒーを口に運ぶ。
※※※※※※※※※※
それから数分が過ぎた頃合いだったろうか。
「フフフ、、、」
突然どこからか、女の意味深な含み笑いが聞こえてきた。
俺も松浦さんも驚いた顔で顔を見合わせると、辺りをキョロキョロ見回す。
するといきなり前方左側から1人の看護師が、廊下を走る姿が視界に入った。
真ん丸の白い顔を上下に揺り動かし狂ったように笑いながら、右方へと駆け抜けていく。
「キャハハハハハハハハ」
俺と松浦さんは立ち上がると廊下まで歩き、右手の廊下奥暗がりに目をやる。
すると長い廊下沿いの真ん中辺りにある一室の前に立っているのが、視界に入った。
「あそこは胃ガンで寝たきりになっとる相川さんの部屋だ」
背後から松浦さんがボソリと呟く。
看護師は部屋を指差しながらまたしばらく狂ったように笑った。
それから再び歩きだし、暗闇に消えた。
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