そして翌朝の検温時のこと。
担当看護師から、今朝早く胃ガンを患っていた相川さんが亡くなったということを聞かされた。
俺は思いきって、昨晩の出来事を看護師に打ち明ける。
彼女はしばらく無言で俯いて聴いていたが、やがて「本当は黙っていようと思ったんだけどね」と言った後、意を決したかのように続けた。
「あなたがここに来る2年ほど前のことなんだけどね、このフロアに1人の新人看護師が配属されたの。
いつも笑顔なすごく真面目な子だった。
ただおかしな性癖があってね。
それが突然患者さんに向かって笑うというものだった。
そして不思議なことに笑われた患者さんは日も経たないうちに亡くなられたの。
そんなことが何度か続くうちに、病院内で噂になりだしてね。
『あの看護師は悪魔だ』とか『ここに入院したら殺される』とか。
それで病院としても無視出来なくなって、とうとう辞めてもらうことになったの。
そしてその数日後、彼女、病院トイレの個室で首を吊って亡くなったんだ」
※※※※※※※※※※
件の看護師の笑いと患者の突然死には果たして因果関係があったかどうかは分からない。
ただ担当看護師から話を聞いた数日後に病院側が呼んだのか、どこかの神社の神主が訪れ、フロアのトイレの前でものものしくお祓いの儀式を執り行っていた。
その後俺はなんとか退院出来たが、あの後病院内にあの看護師が現れなくなったのかどうかは定かではない。
【了】
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