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呪い・祟り

SNNNさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

たたりもっけ
長編 2025/08/05 14:18 5,430view
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ぼうぼうに伸びた雑草。苔むして片足だけの鳥居。首のあたりが抉られた狛犬。
でも妙なことに、本殿の脇にある小さな神棚だけが、異様なほど綺麗に保たれてた。そこだけ毎日掃除されてるみたいに。

俺らはしばらく騒いで遊んでた。
隠れんぼとか缶けりとか……今思えば、バカみたいなことを。

そうして30分ほど経った頃だろうか。
散々遊んだ俺らは解散する流れとなった。
といってもただ解散するだけではつまらない。
「最後にあの神棚の扉、開けてみようぜ」
と誰かが言い出した。

俺は嫌だった。悪い予感がした。
もう散々楽しんだし早く帰ろうと、あいつらを説得したが誰も首を縦に振ってはくれなかった。
一人で下山するのも心細く、俺は渋々扉を開けた。

静寂を破って、神社にギィィと音が響く。
扉を開けきった瞬間、あたりが急にうるさくなった。
赤ん坊の声だ。
それも1人じゃない。俺らを取り囲むように何十、いや何百もの赤ん坊の声が辺りを包んだ。
それは、一般的な赤ん坊の泣き声ではなく、クゥグァァ…と裂かれた喉から無理やり出しているような悲鳴に近い声だった。

人ってビビると本当に動けなくなるんだよ。

叫ぶことも逃げることもできず、俺らは呆然と立ち尽くしていた。

木の上からドチャッと何かが落ちた。大きな肉塊が打ちつけられたような鈍い音の方に目をやると、そこにはフクロウがいた。
この辺りでは珍しくも無い、至って普通の野鳥。

フクロウってのは首がよく回る。

ぐりんと振り向いたそいつの顔は
人間の赤ん坊だった。
目はただれ、肉は腐り、腐敗臭特有の吐き気がしてくる匂いを漂わせた”それ”はまっすぐこっちを見ていた。

「…うんで」
どろりと濁った声だった。まるで泥の底から喉を詰まらせた何かが懇願してくるような、気持ちの悪い響きだった。

メンバーのうちの何人かが発狂した。
誰が叫んだか覚えていない。俺たちはパニックになりながらも、このおぞましい神社を後にした。

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